労働安全衛生研究
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作業環境中に存在する揮発性の化学物質測定のためのリアルタイム分析装置の開発
高谷 一成 萩原 正義的場 史朗鷹屋 光俊柴田 延幸
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論文ID: JOSH-2021-0005-GE

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抄録

本研究では,作業環境中に存在する揮発性の化学物質の濃度測定として主流となっているガスクロマトグラフィー/質量分析計(GC/MS)による測定では困難な,リアルタイム測定を可能にするためにイオン移動度分析計(Ion Mobility Spectrometer : IMS)を用いたリアルタイム分析装置を開発した.溶剤や塗料などに幅広く使用されているトルエンを試料として選定し,本装置の性能評価を行った.実験の結果,トルエンの瞬間的な化学物質のばく露許容量である天井値(300 ppm)付近までの範囲(40 ppm ~256 ppm)において非常に正確にトルエン濃度を測定することができた.本装置の応答性についても,およそ50秒間隔で濃度測定を行うことが可能であることがわかった.さらにエタノールを高濃度共存物質とした場合の本装置のトルエン濃度測定における定性性・定量性を検証したところ,十分に濃度測定が可能であることが示された.このことから,共存物質のプロトン親和力がトルエンのプロトン親和力よりも低い場合,共存物質の存在は本装置の定性性および定量性に影響を及ぼさないことが示された.

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© 2021 独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
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