2020 年 40 巻 3 号 p. 395-397
膝前十字靱帯(ACL)再建患者で,手術待機期間による術後成績の差異について調査した.ACL再建術を行ない術後1年以上経過観察可能であった28例,手術時平均年齢26.6歳を対象とした.受傷から手術までの待機期間が6ヵ月未満の早期群19例と6ヵ月以上の遅延群9例の2群に分類した.手術時の半月板損傷と軟骨損傷の有無,術後1年時の臨床所見を2群間で比較検討した.手術時の半月板損傷は有意差を認めなかったが,軟骨損傷は早期群5.6%,遅延群33.3%であり有意差を認めた.臨床成績では有意差は認めなかった.受傷後手術待機期間が長くなることにより,術後安定性には差異は認めなかったが,半月板や軟骨損傷が増加するため,可能な限り早期に行なうべきである.