2021 年 41 巻 1 号 p. 76-81
目的:本研究の目的は,中高年者の前十字靱帯再建術(以下ACLR)後臨床成績,移植腱成熟度は若年者と比較しても同等に良好であるとの仮説をもとに,ACLRにおける中高年者の術後臨床成績とMRIによる成熟度につき検討することである.
方法:2013年から2016年までにACLRを施行した153例153膝を対象とし後ろ向きに調査した.術前検討項目として年齢,性別,BMI,ストレス撮影による健側と患側の差(side to side difference;SSD),International Knee Documentation Committee score(IKDC score),を評価した.1年経過時のSSD,IKDC score,とMRIにおける移植腱のsignal noise quotient(SNQ)値を算出した.40歳未満のA群,40歳以上のB群の2群に分け各項目の単変量解析を行なった.
結果:A群118膝,B群35膝であった.術後Lysholm score,IKDC scoreに有意差は認められなかった.術後SSDはB群が有意に低値であったが(p=0.01),MRIの大腿骨側,脛骨側の移植腱輝度に有意差を認めなかった.
結論:中高年者のACLR後臨床成績は良好であり,術後SSDは若年者と比較して有意に低値であった.MRIによる移植腱輝度は若年者と中高年者では有意差は認められなかった.