抄録
本研究では,実車評価時の運転可否結果と具体的な運転行動の関連性について,神経心理学的に分析を行った.当センターで,自動車教習所における実車評価を実施した脳血管障害者の運転適性について,群間比較を行った.結果,神経心理学的検査に有意な差は認められず,危険であると評価された運転行動の合計数のみが有意差を認め,適性なし群で有意に多かった(p=0.007).運転適性との関連から,カーブ走行時の走行位置,進路変更時の合図の有無,後退時のコースのとり方が運転可否結果に影響しており,実車評価時に着目すべき運転行動が明らかになった.運転行動は,神経心理学的検査のみではとらえにくい,複雑な活動であることが示唆された.