抄録
当院ではリエゾンチーム介入患者への精神科作業療法(以下,リエゾンOT)という新たな取り組みを行っている.本研究は,せん妄患者に対するリエゾンOTの有効性を検証することを目的とし,介入群と非介入群の1週間経過時の状態変化を機能の全体的評定尺度(以下,GAF),せん妄の重症度評価(以下,MDAS)を用いて後方視的に比較した.その結果,介入群においてGAF,MDAS合計点および下位項目の「注意の集中と注意の転換の障害」,「精神運動抑制もしくは精神運動興奮」,「睡眠覚醒リズムの障害」が有意に改善した.このことから,リエゾンOTはせん妄の改善に寄与する可能性が示唆された.