作業療法
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Print ISSN : 0289-4920
実践報告
フォーカルジストニアに罹患したプロピアニストに対するスプリント療法の実践
渡部 喬之佐野 太基牧野 亜由美酒井 健川崎 恵吉
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2023 年 42 巻 6 号 p. 788-793

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抄録

今回,フォーカルジストニアに罹患したプロピアニストの女性を担当した.事例は40歳代右利きの女性で,国内でのコンサート活動を主に行うプロピアニストである.演奏時の手の様子は,徐々に右の中指と環指が屈曲傾向となり,代償指として示指,小指の過伸展を認め,演奏継続が困難であった.代償指の過伸展予防,ジストニア指の固定を目的としたスプリントを作成し,段階的にスプリント装着下での演奏練習を継続した結果,介入123日目にはほぼ正常な演奏が可能となった.スプリント療法を行うことで代償指の過度な収縮を抑制し,求心路への適切な感覚入力を繰り返したことが効果的であったと考える.

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© 2023 一般社団法人日本作業療法士協会
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