2024 年 43 巻 6 号 p. 755-763
自閉スペクトラム症児(以下, 児童)が学校生活にて体験した主観的な困り感を作業機能障害の観点から検討することを目的に, 構造構成的質的研究法とSteps for Coding and Theorizationを用いて児童4名を分析した. その結果, 〈学校規定による環境や行動制限〉と〈社会情勢による経験の剥奪〉の作業剥奪, 〈作業活動時と時間感覚のバランス〉と〈作業とその意味のバランス〉の作業不均衡, 〈他者と自己の経験比較による無力感〉と〈集団内での疎外感〉の作業疎外, 〈交流する他者に認められない価値〉と〈マイナスな経験による自罰意識〉の作業周縁化が生成された. 学校全体との協働にて児童の作業遂行を支援することが, 作業療法士の役割として重要であると考えられた.