抄録
本研究は、長期的な視点から地球環境を分析・理解するための支援を最終目標とした上で、衛星マルチスペクトルデータをはじめとした地球観測に関わる技術情報を提供するシステムを構築したものである。地球観測情報を「利用目的別にデータセット」として蓄積・管理する考え方を提示し、多くの利用目的の中からニーズの高い「土地被覆情報」を研究対象としてプロトタイプシステムの設計・開発を進めた。データセットの「作成・管理、検索・表示、加工・編集」といった3つのシステム構成とし、データセットの作成、蓄積、管理、システムの運用から拡張に至るライフサイクルの効率化を図っている。特に、地球観測情報を取り扱うシステム開発におけるオブジェクト指向設計の導入意義を示している点も本研究開発の特色の一つとなる。本研究で整理した設計指針に従えば種類の異なるデータセットの設計・開発も容易となり、利用者の多様なニーズに対応できる柔軟性、拡張性あるシステムを実現している。