2003 年 38.3 巻 p. 469-474
人口 30万人の地方都市である宮崎県宮崎市の都心部まで5~10kmと近く、かつ公共交通機関のサービス水準が非常に低い制約条件を有す清武町において、平成 14年11月18~22日(5日間)に「交通円滑化」と「地区交通の安全性向上」を目的とした総合的な交通社会実験が実施された。その結果と得られた知見は次の通りである。1)通過交通が流入している地区道路において一方通行規制を実施し、想定どおり歩行者と自転車の交通安全を確保できた。2)この一方通行規制により排除された自動車は、国道に還流し交通混雑を助長する可能性があったが、事前の交通調査・解析から還流する自動車台数を推定し、これに対応するモニター数を確保して公共交通機関へ転換を図ることで、交通混雑を回避できた。3)モニターの参加率は5日間を通じて低下しなかったことから、実験で設定した公共交通機関のサービス改善はモニターの満足を得られるレベルであったといえる。