都市計画論文集
Online ISSN : 2185-0593
Print ISSN : 0916-0647
ISSN-L : 0916-0647
最新号
都市計画論文集
選択された号の論文の24件中1~24を表示しています
  • 「空き家」および「その他空き家」の比率を用いて
    平原 幸輝
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 57 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2021/04/25
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル オープンアクセス

    現代の日本社会においては空き家問題が深刻化しており、多くの自治体がその状況を把握しようと試みている。 しかし、空き家問題の状況を把握する際に用いられる「住宅・土地統計調査」には、全市区町村のデータが含まれているわけではない。 本研究では、全国の市区町村の空き家率を網羅することで、空き家問題の状況を把握することを試みた。 その結果、地域の人口構成や世帯構成は空き家率の高さに関連しており、老年人口比率や単身世帯比率は空き家率に影響していることがわかった。 また、空き家率を社会地図化した結果、山間部において空き家問題が深刻化していることがわかった。

  • 溝口 哲平, 谷口 綾子
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 57 巻 1 号 p. 7-19
    発行日: 2021/04/25
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル オープンアクセス

    中心市街地は,気分転換や非日常感,良いことが起こりそうな期待感など来訪者に精神的充足をもたらす“晴れの舞台”であるとされる.本研究では,人々が抱く「中心市街地の訪問により精神的充足を得られる」という期待に着目し,この期待の他,中心市街地への愛着や利便性評価などを「中心市街地への志向意識」と総称する.その上で,中心市街地への志向意識を規定する心理要因を探索的に明らかにすること,および中心市街地の所在する都市の規模が志向意識に及ぼす影響を検証することを目的とする.結果として次のことが明らかとなった.1)自己閉塞性や地域からの疎外意識が高いといった社会的紐帯の弱い人は,中心市街地の訪問に精神的充足を期待しない傾向にある.2)イメージする中心市街地の所在する都市の規模が一定(地方中核都市)未満となると,「中心市街地の訪問により精神的充足を得られる」という期待が低くなる.後者は,小規模な都市の中心市街地では,もはや精神的充足がもたらされていない,或いはそれが期待されていない可能性を示している.

  • 桜井市本町地区における地域関係者の連携体制及び役割からみた分析
    高木 悠里, 嘉名 光市, 蕭 閎偉
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 57 巻 1 号 p. 20-32
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル オープンアクセス

    奈良県桜井市本町は、歴史的な町並みを有する地方都市であり、複数の地域団体により、多様な景観マネジメントが実践されている。本研究では、本町を対象に、景観マネジメントの展開プロセスを明らかにした。景観マネジメントに関連する活動のプロセスをみると、地域団体は調査・イベントから活動をはじめ、課題や目標を共有した上で、実践による技術等の蓄積とその活用により、新たな活動の展開を積み重ねていったことが分かった。さらに、地域関係者の連携体制の変遷、個人の役割の変遷を分析した。その結果、地域団体と関係者が様々な連携体制を構築していたことが分かった。また、関係者からの働きかけにより、活動が展開していた。さらに、新たな活動の展開にあたっては、個人が各々の役割を担い、各々の専門性を発揮していた。

  • 東京都墨田区北十間川周辺地区を事例として
    大堀 健太, 志村 秀明
    原稿種別: 論説・報告
    2022 年 57 巻 1 号 p. 33-41
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル オープンアクセス

    本稿では、東京都墨田区北十間川周辺地区を事例に、水辺と高架下空間を含む公共空間の整備・活用に関する経緯や状況を明らかにした。結論は以下の通りである。1)地元住民は、まち歩きや学生による整備の提案発表などを経て、公共空間の整備を前向きに検討するようになった。2)検討部会では地元住民の意向によって、周辺環境も含んだ公共空間の整備まで検討した。それにより行政の縦割りを克服し、一体的な公共空間の検討が実現した。

  • 野中 康太郎, 畔柳 昭雄
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 57 巻 1 号 p. 42-51
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル オープンアクセス

    我が国では、2019年12月時点で立地適正化計画を策定している275自治体の内、242自治体は居住誘導区域に水害リスクを抱えている実態が指摘されている。本研究では、居住誘導区域に水害リスクを抱えた特定都市河川流域に位置する23自治体の浸水リスクに曝された人口と地域を捉えた。その結果、大阪府の7自治体が浸水リスクが高いことを明らかにした。また、地域と建築の観点から、大阪府7自治体の対水害脆弱性を捉えた結果、枚方市や東大阪市の対水害脆弱性が高いことを明らかにした。

  • 建物棟数密度と建蔽率制限値による推定と市街地への適用
    薄井 宏行, 寺木 彰浩
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 57 巻 1 号 p. 52-64
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル オープンアクセス

    わが国では,既成市街地における良好な住環境を確保するために,建物の形態は主に建蔽率(建築面積/敷地面積)等により制限されている.建蔽率の上限は,隣棟関係にある建物の壁面間距離(以降,「壁面間距離」と記す.)を直接制限しないため,地域における壁面間距離は不均一となる.とくに,壁面間距離の最小値や最大値の分布は,地域の延焼リスクを評価するために重要である.本稿では,壁面間距離の最小値や最大値の分布と建蔽率制限値及び建物棟数密度との関係を理論的に解明した.その結果,①壁面間距離の最小値と最大値の分布はそれぞれワイブル分布とフレシェ分布として理論的に導出されること,②各分布のパラメータは建物棟数密度と建蔽率制限値から簡便に推定できることがわかった.これらの知見により,壁面間距離を計測する必要はなくなることに加えて,建蔽率制限値や建物棟数密度の変化に対する各分布の変化を見通しよく分析できることを示した.

  • 川崎区小田の防災空地整備事業を事例として
    左右田 敢太, 矢口 哲也
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 57 巻 1 号 p. 65-75
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル オープンアクセス

    今日の密集市街地整備は敷地ごとの点的更新が主である一方、それらの集積が地域全体に与える将来的な影響は不明瞭である。本研究では土地利用モデルを構築し、点的整備の集積が地域全体に与える影響の定量評価を試みた。具体的には、公表資料と実地調査から整備事業のスキームと地権者の意思決定構造をモデル化し、マルチエージェントシミュレーション(MAS)を用いて、20年後の対象地における防災性と住環境の変化について分析を行った。6つの異なる政策シナリオを実行した結果、現行政策では対象地の防災性改善には不十分であること、防災性が改善しても住環境が改善するとは限らないこと、空閑地・空き家の利活用が防災性・住環境両方の改善に有効であることが分かった。

  • 新型コロナウイルス感染症流行前後に導入された土地利用規制を中心に
    坪原 紳二
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 57 巻 1 号 p. 76-89
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル オープンアクセス

    アムステルダム市は2010年代半ばより、オーバーツーリズム対策を土地利用、交通、景観等多様な分野にわたり実施してきた。新型コロナウイルス感染症流行後においても対策を維持し、さらにむしろ強化する方向を打ち出している。そこで本稿は、主として土地利用規制に焦点を当て、アムステルダム市がこれまで実施してきたオーバーツーリズム対策を明らかにし、ポストコロナにおける日本の観光地を考えるうえでの示唆を得ることを目的とする。同市は中心市街地において、地区土地利用計画によって新たな観光客向け店舗の立地を禁止し、またホテルの新設も認めない方針をとっていた。民泊とB&Bについては、住宅ストックを守る視点から、居住機能を維持することを求めていた。飲食店に対しては、コロナ対策としてテラスの拡張手続きを緩和したが、中心市街地の住環境を守るための措置も盛り込んでいた。2020年末に提案した計画は、観光規制の枠を超える施策も視野に、中心市街地を市民が生活する場に転換することをめざしていた。

  • 大学所在地域に関する学習経験に着目して
    榊原 弘之, 高木 将志
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 57 巻 1 号 p. 90-97
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル オープンアクセス

    近年,特に地方部において,地域活性化における大学生の貢献が期待されている.一方,多くの地方大学が大学所在地域に関する学習プログラムを導入しつつある.本研究では,中国・四国・九州地方の大学生を対象としたウェブアンケート調査を実施し,地域に関する学習プログラムが学生のまちづくり参加意識に及ぼす影響を定量的に評価した.調査の結果,学所在地に関する学習経験を有する学生は,そのような経験のない学生と比較して,WS,インターンシップ,イベント運営への参加意欲がいずれも有意に高いことが示された.特に,他大学との交流が少ない学生や地方部の学生など,社会ネットワークの形成において相対的に不利な立場にあると考えられる学生ほど,学習プログラムが参加意識の向上に与える効果が高いことが示唆された.

  • テレワーク,ネット通販,自動運転の推進を想定して
    大門 創
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 57 巻 1 号 p. 98-105
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究の目的は、テレワークの進展、ネット通販の進展、自動運転車の普及などのスマートシティの推進が、大都市圏や地方都市圏の居住地選択に与える影響を明らかにすることである。得られた知見は以下のとおりである。第一に、大手賃貸情報webサイトから,現状の住宅条件間の弾力性を把握することができ,実態に即した住宅条件を設定することができた。第二に,アンケート調査を通じて,大都市圏および地方都市圏の住み替えの実態と,都市のスマート化施策による居住地選択の意向の変化を把握することができた。第三に,居住地選択モデルによって,大都市圏および地方都市圏の住み替えの際に重要視する要因を定量的に把握することができた。

  • 東京都特別区及び岡山県の居住者を対象に
    岡田 将範, 氏原 岳人, 堀 裕典
    原稿種別: 論説・報告
    2022 年 57 巻 1 号 p. 106-113
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル オープンアクセス

    本報告では,COVID-19流行前とコロナ禍の代表交通手段から転換パターンを分析し,公共交通機関の利用継続者・停止者の特性を把握した。分析の結果,1)公共交通機関の利用は有意に減少し,首都圏ではオンラインへ変更していた。2)乗用車の利用は,「通勤・通学」では有意に増加したが,「趣味や娯楽」では乗用車の利用に有意差はみられなかった。3)「通勤・通学」では地方圏から首都圏にかけて代表交通手段の変化は大きくなったが,「趣味や娯楽」では居住地域による差は小さかった。4)公共交通の利用継続・停止においては、首都圏は駅への近接性が影響していたが,地方圏では運行間隔がそれに影響していた。

  • 浅野 純一郎, 井上 佑樹
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 57 巻 1 号 p. 114-125
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は地方中核市における対策計画の運用状況を明らかにし、その課題を考察することを目的とする。 地方中核市は、発生場所の多様性、空家の数、空家の多さ故の対策の包括性、対策連携対象の広さという点で、対策の包括性や全体性を見るのに適当な対象だと考えられる。アンケート調査に回答のあった29市を対象に、担当課へのヒアリング調査を重ねることで、地方中核市の空家等対策計画の実行状況を包括的に明らかにした。また典型都市として豊橋市をケーススタディし、空家データベース活用と指導の実態を明らかにすると共に、市内の空家の立地特性や空家特性を仔細に明らかにした。その結果、大量の空家が発生している中で、予算不足、担当部局の人員不足から、実態としては特定空家対策のみ注力せざるをえない実態、立地適正化計画と連動した拠点形成というような都市計画的施策が全体としては進んでいない実態を示した。

  • 集約型都市形成に向けた未利用地の創造的管理・活用の可能性
    原田 陽子, 林 汰旺
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 57 巻 1 号 p. 126-137
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究では、福井市市街化区域における未利用の分布特性と未利用地所有者の所有実態を明らかにすることを目的とする。本研究で明らかになった内容は以下の通りである。1)未利用地は、市街化区域の中でも特にまちなか地区近辺で未利用地が増加しており、土地利用の変化に関する類型化では、まちなか地区ではこれまでに建物が建ったことのある土地でも未利用地化が増加している。2)未利用地所有者には高齢者が多く、比較的近年、相続で未利用地を所有した人が多く、未利用地になっている理由では、全体的には「今すぐ売却したいが売れないため」が多く、未利用地の維持管理に悩んでいる人も多い。

  • 8つの先進的な Climate ChangeAction Plansの施策内容分析から
    保坂 朋輝, 山崎 潤也, 吉田 崇紘, 似内 遼一, 真鍋 陸太郎, 村山 顕人
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 57 巻 1 号 p. 138-150
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル オープンアクセス

    気候変動による影響が世界各地で顕在化している昨今、都市計画分野からそれらへの適応策を検討する必要性に迫られている。本研究では第一に、気候変動政策が先進的な英仏8自治体のアクションプランを対象に、都市計画に関連する分野の適応策を抽出してリストに整理した。第二に、作成したリストに基づく施策群の特徴分析や自治体間の比較分析から、同分野の適応策における傾向を考察した。この分析の結果、具体的な実行手段を記載した、都市計画分野の適応策が整理された。また、8自治体は物的環境への介入策が多様であること、各自治体の提示する適応策のパッケージに二つの類型が存在すること、一部の計画では施策を導入する具体的な立地の記載があることが確認された。

  • 東京都区部と岡山県岡山市の居住者を対象として
    大畑 友紀, 氏原 岳人
    原稿種別: 論説・報告
    2022 年 57 巻 1 号 p. 151-156
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル オープンアクセス

    本報告では,COVID-19の流行前とコロナ禍におけるネットショッピング等の利用頻度と個人属性等の関連性について,特性の異なる地域を対象に分析を行った.分析の結果,次のことが明らかになった.1)実店舗での買い物は首都圏の方がオンラインへの転換が多く,都市規模と感染状況が要因である可能性が高い.2)コロナを機に,女性や年齢が低い人の方がネットショッピング等の頻度が増えている.3)ネットショッピング等の利用理由は都市規模による差が見られ,首都圏では移動や商品の持ち帰りの手間を減らすことを,地方圏では実店舗の充実度を補うことを理由としている傾向がある.4)ネットショッピング等の利用頻度は,人との接触を回避することより,流行前の頻度の方が大きく影響している.

  • 別所 あかね, 坂本 慧介, 山崎 嵩拓, 横張 真
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 57 巻 1 号 p. 157-164
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル オープンアクセス

    あらゆる人々が個性を発揮できるインクルーシブな社会の形成に向けて、本研究は、障がい者が従事する農福連携事業に着目し、全国の農福活動団体を、主目的が「福祉」にあるか「農業」にあるかの二者に分類した上で、障がい者雇用において能力・適性を重視する団体の特徴を分析した。その結果、「福祉」を主目的とする団体の方が、障がい者の能力・適性を重視する傾向が強く、各団体が行う農的活動の種類によっても、重視の度合いは異なった。生産・加工・販売といった活動の多様性を内包する農的活動を障がい者の個性発揮の好機として位置づけ、インクルーシブな社会形成につなげるためには、「個々の能力・適性の評価」を重視する福祉サイドのアプローチを農サイドにも波及させることが重要であろう。

  • 神戸市の密集市街地まちなか防災空地を事例として
    清水 隆平, 北後 明彦
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 57 巻 1 号 p. 165-178
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究では神戸市まちなか防災空地を事例とし、民有地を暫定的に利用した防災用空地を管理する団体の事業プロセスと抱える課題並びに事業継続に影響を与える要因を明確にすることを目的とした。本事業により事業化の準備段階から住民合意・防災意識の向上・コミュニティの醸成が図られている。事業化のプロセスにかかる期間は長期に渡るが、ノウハウの蓄積により期間の縮小と労力の軽減が期待できることがわかった。管理団体が抱える主な課題は維持管理上の労務、経費、近隣対策の負担であるが、特に労務負担に関わるものが大きい。現在管理している以上の防災空地を整備することに対し消極的な管理団体が一定数認められ、制度の継続や活性化のためには、労務負担の軽減を行うことが重要であることが示唆された。労務負担の軽減にはノウハウの蓄積・伝達、他の年齢層・フィールドの団体との連携の検討が必要となる。

  • 大阪府門真市石原町を事例として
    井上 慧彦, 木下 光
    原稿種別: 論説・報告
    2022 年 57 巻 1 号 p. 179-193
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は、高度経済成長期において無秩序な市街化がみられた大阪都市圏縁辺部である門真市石原町を対象として、土地台帳、農地転用薄、不動産登記簿の分析を通じて、農地改革および農地転用を経て、新都市計画法以前の農地がどのようなメカニズムで宅地化が進むのかを解明することを目的としている。石原町においては、急激な市街化が見受けられたが、農地改革により農地所有者が増加したことが農地転用による宅地化をより促進させた一因だと考えられる。それに加え、石原町の道路構成は、緊急的な方法として農地期を基礎にしており、また、インフラストラクチャーが脆弱であるにも関わらず、建設が容易な木賃アパートの存在もあり、農地から宅地へと転換した。

  • 今村 洋一
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 57 巻 1 号 p. 194-209
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究では、東京都区部所在の大学及び専門学校等が、終戦直後にどのような旧軍施設に対して使用希望を出していたのかと、使用希望が実現したケースの実態を考察した。そして、旧軍施設の使用希望は、罹災した学校が8割を占めたこと、校地から離れた旧軍施設の希望も多く寄せられていたこと、旧軍の学校、兵営、研究所に対する希望が多かったこと、使用希望は15%しか実現していなかったこと、使用希望実現の背景には旧陸軍将校とのコネクションや不法占拠という実態があったこと、使用希望が取りまとめられた10月頃までにその多くが実現していること、旧軍施設の恒久使用は校地の大幅な拡大を伴い、将来的な発展に寄与したことが明らかになった。

  • さいたま市の「区民会議」を対象として
    今村 真樹子, 佐藤 宏亮
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 57 巻 1 号 p. 210-217
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル オープンアクセス

    まちづくりにおいて地域固有の課題に対応するため、行政との協働を担う主体の形成が欠かせない。さいたま市では行政主導による住民自治組織「区民会議」が平成30年度まで設置されており、本研究は、区民会議を対象とし、16年間の活動における位置付けとその変遷、廃止に至った要因、廃止後の取り組みとの関連性に焦点を当て、都市部における住民自治組織の役割と意義について考察することを目的としている。文献調査とヒアリング調査をもとに得た主な考察は以下の通りである。1) 広域での効果的な区民会議の活動を実現することは、議会や予算、条例などとの兼ね合いもあり、容易ではない。2) 区民会議は要綱改正毎に方向性や立場が不明確になっていった。3) 活動や協議範囲の限定、位置付けを変更し、行政とうまく連携させる取り組みであれば、都市部でも住民自治を実現できる可能性があると推察される。

  • 1975年から 2020年の年代別市街地と土地の傾斜角から見た特性
    宮脇 勝, 田淵 祐哉
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 57 巻 1 号 p. 218-227
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は、1975年から2020年現在までのランドサット衛星画像データを用いて、名古屋都市圏の市街地を年代別に都市計画区域区分ごと把握し、市街地拡大プロセスを時系列で把握することを目的とする。さらに、自然地形との関係の中で土地の傾斜角の影響に着目し、近年の丘陵部の開発動向を明らかにすることを目的とする。結論として、1) 年代別市街地キャラクタライゼーションの地図により、2006年から2020年の15年間において、名古屋都市圏の東側および西側の丘陵部、名古屋都市圏北側および西側の河川流域、名古屋都市圏南側の河口部に市街化が顕在化された。2) 衛星画像で分類されたGISにより計測された5年ごとの市街地面積の推移によると、1981-1985年の増加率が23.8%と急速に面積拡大が始まり、その後も2005年まで8.05~17.02%と高い増加率を示した。2006年以降は増加率が0.97~3.85%と緩やかな拡大を続けている。3) 2016-2020年では市街化調整区域内の市街地が約5.5割、その他が約3割、市街化区域が約1.5割を占めていることがわかった。4) 地形データの平均傾斜角と災害リスク地域を組み合わせ、5度以上の傾斜の大きい年代別の住宅地を抽出できるか検証した結果、実際に5度以上の斜面を持つ住宅地区の抽出は可能であることがわかった。道路の傾斜角が3度を超えると、歩道の歩行者や自転車にとっては負担となり、日常生活に自動車が利用できない世代にとっては、望ましい状況とは言えない。このことから、丘陵部の住宅地開発は、森林保護のみならず、歩行の観点からも持続可能性の課題が指摘される。以上より、今後持続可能な開発を誘導するためには、既に地形的に利用可能な土地に余裕が無くなっており、市街地の拡大を継続するのではなく、大都市圏計画の意義を再確認して、既成市街地内で安全な地域を見出し、地域再生に方向転換すべき時期に入っていると考えられる。

  • 穴井 宏和, 柴崎 亮介
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 57 巻 1 号 p. 228-239
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究の目的は,起業家の出身大学・出身企業とスタートアップの地理的近接性が成長に影響することを明らかにすることである.起業家の出身大学・出身企業は,外部リソースを調達するためのソーシャルキャピタルである.スタートアップのミッションは,社会課題を解決してイノベーションを引き起こすことと短期間で高成長を実現することとである.一方で,創業初期のスタートアップには,成長のためのリソースが不足している.起業家は,社会的なつながりであるソーシャルキャピタルを通してリソースを動員する必要がある.本稿では,スタートアップが成長するためには,単にスタートアップ集積地に立地することでは効果がなく,リソースとの近接性が成長要因であることを主張する.

  • 岩手県内の漁業生産空間・海岸保全施設・生活空間整備に関する事業に着目して
    萩原 拓也
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 57 巻 1 号 p. 240-254
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は、津波常習地域の漁業集落における災害間の空間変容の中でも、 漁業生産空間整備、海岸保全施設整備、生活空間整備の計画内容と整備実態を明らかにし、これらの空間整備による、漁業集落の機能や空間構造の変化を明らかにすることを目的としている。我が国における漁業集落に関連する空間整備事業の展開を把握した上で、岩手県内の集落を対象とした漁港および関連施設の整備、防潮堤整備、漁業集落環境整備事業等に関する計画内容及び整備実態に関する文献調査を行い、漁業生産機能にとどまらない漁港整備の役割とそれによる漁業集落の空間構造や生活利便への影響について明らかにした。また海岸保全施設整備と漁業生産空間整備の進展状況と相互の関係性について論じた。

  • 愛知県豊橋市を事例に
    児玉 欣輝, 小野 悠
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 57 巻 1 号 p. 255-262
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究では、屋内外の低未利用空間を「都市空処」と総称し、愛知県豊橋市の中心市街地を事例に都市空処の総量や特性を定量的に把握した。立体的に捉えた都市空処の総量は平面的に見た場合の1.6倍であることが分かった。加えて、都市空処における屋内空処に対する屋外空処の割合は、平面的に見た場合の方が顕著に高くなっている。また、中心市街地の中心部・外縁部で都市空処の立地特性が異なり、中心部には時間貸し駐車場やテナントビルが、外縁部には月極駐車場や住宅などが集積している。都市空処を立体的、定量的に把握することは様々な建て方や用途の建物が混在する中心市街地の現状を読み取り、縮退時代における中心市街地のあり方や空間活用の方向性について示唆を得るための重要な知見となる。

feedback
Top