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太田 尚孝
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
501-508
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
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世界中で高層建築物への都市計画の考え方と手法に注目が集まっている。本稿は、フランクフルト市を事例にして、西欧の高層建築都市への歴史的発展過程と「高層建築発展計画2024」の仕組みを明らかにする。2023年7月及び2024年7月のフランクフルト市へのインタビュー調査と包括的な文献調査に基づき以下の3点が明らかになった。1)高層建築都市への道のりは一直線ではなく、段階的に形成された。2)HHEP2024に基づき高層建築街が文化と緑地を基盤に大きく変化する。3)HHEP2024は非法定計画を法定計画の準備的計画として明確に位置付けている。
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FRS30(The Financial Reporting Standard 30 Heritage Assets)及びFRS102を対象として
山本 真紗子
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
509-515
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
フリー
本稿は、英国における文化財会計制度 FRS 30「The Financial Reporting Standard Heritage Assets」および FRS 102「The Financial Reporting Standard applicable in the UK and Republic of Ireland」が文化財の価値をどう捉え、また文化財保全活動団体にどのように影響を与えたかを明らかにすることを目的とする。FRS 30は、2009年に導入された初の包括的な「文化財資産」基準として、従来財務諸表上で十分に認識されてこなかった歴史的・文化的価値を有する資産を会計の枠組みに組み入れる試みであり、制度的には公共的資産の財務的可視化を推進する重要な転機と位置づけられる。FRS 102は、2015年以降の新たなUK GAAPとして、FRS 30の原則を内包しつつ中小機関への対応や国際的整合性を意識した包括的な基準であり、文化財の会計処理にと実務的指針を与えたものである。本研究では、両基準で文化財の価値がどのように認識されているか、またナショナル・トラストとイングリッシュ・ヘリテージという主要な団体で同基準がどう運用されているかを資料・文献調査を通じて明らかにした。その結果、両基準はいずれも文化財の開示水準を高め、一定の透明性をもたらしたものの、評価手法や制度の運用には課題を残していることが示された。
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マテリアル・ターン以降の主要概念に着目して
新 雄太
原稿種別: 論説
2025 年60 巻3 号 p.
516-523
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
フリー
現代は、人間中心主義がもたらした地球規模の環境負荷に直面する「人新世」の時代であり,物的環境を前提とする建築・都市分野がもたらす影響力は大きい.本稿は,1980年代以降の物質論的転回(マテリアル・ターン)以後の非人間的存在にも行為主体性を認めるポスト人間中心主義的マテリアリズム(PAM)の建築・都市分野における理論的潮流を確認することを目的とする。物質論の歴史的変遷を概観するとともに,PAMの主要概念であるアクターネットワーク理論やニューマテリアリズム,ソシオマテリアリティの問題意識や特徴を整理した.PAMは,建築や都市を固定された静物ではなく,生成する動的な関係性の媒体として再定位し,建築や都市環境の新たな倫理と実践を拓く今後の理論的土台の一つとなるであろう.
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地域愛着及び主観的幸福感への影響に着目して
安倍 ひより, 籔谷 祐介
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
524-531
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
フリー
本研究では、地域愛着及び主観的幸福感向上を目的としたまち歩き手法の開発と、その有効性を検証した。特に、まちの見方に影響を与える働きである「まちを見る感性」に着目し、その感性を育むプログラムの実践と評価を行った。その結果、本プログラムが地域愛着及び主観的幸福感を高めることが明らかとなった。また、「まちを見る感性」が育まれたことで、プログラムの対象地に限らず様々なまちへの興味関心やまち歩きの際に感じる主観的幸福感が向上したことが明らかとなり、本プログラムが日常生活における様々なまちとの関わりを通じて地域愛着及び主観的幸福感を高める可能性が示唆された。
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松原 康介
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
532-539
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
フリー
本研究の目的は、19世紀の都市改造直後のテヘランの様相を、 1880年にイランを初めて公式訪問した吉田正春使節団による『回彊探検 ペルシャの旅』及び『ペルシャ紀行』と、当時の古地図や写真との比較から明らかにすることである。研究方法は歴史的アプローチを採用する。まず、過去の研究を基に、テヘランの都市形成史を要約し、後々の都市再開発に関連する骨格構造(宮殿、広場、道路、庭園、城壁など)に焦点を当てて概括する(第2章)。次に、2つの主要な一次資料『回彊探検 ペルシャの旅』と『ペルシャ紀行』から、テヘランの都市再開発に関する記述を抽出し、分析する(第3章)。続いて、両テキストの記録を1891年の地図や古写真と照合し、都市変容の軌跡を地図上にプロットして、その特徴を検討する(第4章)。最後に、4カ月近くテヘランに滞在した吉田らの所感(賞賛や批判等)も検討し、いわば明治期日本人の海外都市計画体験としての位置づけも試みる(5章)。吉田使節団の記録は、先進国からの都市イメージの受容としてではなく、いわば机を並べて学ぶ側同士の、それも独自の都市文化を一応は持っている者同士で共有されるべき事例として意味を持つ。
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言説の整理と歌詞に対する自然言語処理を用いて
近藤 拓夢, 渡部 一郎, 井上 拓央, 古賀 千絵, 梁 イェリム, 新 雄太, 中島 弘貴, 小泉 秀樹
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
540-547
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
フリー
本研究は、1970年代に誕生した日本の都市音楽文化である「シティ・ポップ」の歌詞におけるイメージを、言説の整理と歌詞内容の定量的分析によって検証したものである。検証の結果、歌詞における都市=「シティ」を指し示す言葉によって、享楽的なイメージや懐古的なイメージといった「シティ」の異なる側面が反映されていることが示唆された。また、シティ・ポップの歌詞には多様な「シティ」に関するイメージが用いられており、それらは時代とともに変化していることが示された。さらに、歌詞に描かれたイメージは、日本の都市、特に東京の実際の都市風景や歴史的文脈を反映している可能性も示唆される。本研究は、シティ・ポップのイメージを活用した効果的な都市ブランディング戦略の構築に貢献すると考えられる。
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都市再生特別地区におけるケーススタディを通じて
天谷 太一, 岡田 潤, 出口 敦
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
548-555
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
フリー
本研究は、大規模開発の従前従後の人々の来訪パタンからみた周辺地域における回遊行動の変化の傾向を明らかにすることで、来訪パタンに着目した大規模開発の影響評価に関する示唆を得ることを目的とし、二つの都市再生特別地区における2時点の人流データを用いて、以下を明らかにした。1) 再開発に伴う鉄道駅との接続性向上により、平均滞在時間からみた周辺地域における回遊行動が、鉄道駅近傍で均質化する傾向が見られた。 2) ミクストユースの開発が行われた結果、特に対象敷地内の従業者の対象敷地内での平均滞在時間が増加し、行動範囲が縮小傾向にあった。 3) 公共貢献としてのペデストリアンデッキや地下通路等の整備により、周辺地域の人々の生活動線や通勤経路として、対象敷地が利用されるようになった。 4) 平日に対象敷地内で長時間滞在する周辺地域の居住者が増加したが、彼らの周辺地域での滞在時間が減少していた。 5) 周辺地域における集客施設等の立地や公共貢献の取り組み内容等の違いが、再開発による人々の回遊行動の変化にも影響を与えていた。 6) 回遊行動の実態を把握し、再開発の影響分析を行ううえで、GPSデータを活用する方法論を提示した。
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福岡市都心部の位置情報データを用いた行動解析を通して
角南 萌々子, 黒瀬 武史, 長谷川 大輔
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
556-563
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
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近年、都市空間における質的価値が見直され、歩きたくなるまちなかへの関心が高まっている。しかし、従来の評価指標では歩行者交通量の多さ等の量的評価と、居心地の良さ等の質的評価が混同される傾向がある。本研究では、位置情報データを用いて「滞留を伴う散策行動(ランブリング行動)」を定量的に分析し、歩行者の活動の質を考慮した評価手法を提案した。また、ランブリング行動者の割合(RA率)を指標化し、その分布と都市環境要素との関連性を検討した。その結果、歩行者数とRA率は異なる分布傾向を示し、行動の質を考慮した評価手法の必要性が示唆された。また、高密度地域では、商業用途やアメニティ施設の豊富さとRA率に強い相関が見られた一方、中低密度地域では歩行環境や店舗の影響力がランブリング行動に影響を与える可能性が示唆された。本研究の成果は、都市空間の設計や政策形成において、居心地が良く歩きたくなる都市の質的評価と具体的な空間創出に貢献する基盤となる。今後は、地域差や時間帯・曜日別、さらには経年変化の分析を通じて、ランブリング行動のメカニズム解明を進めることが有用である。
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札幌都心部を対象として
小林 裕人, 村木 美貴
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
564-570
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
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日本のCO2排出量の約30%は建築物に起因している。その解決に向けて、都市のカーボンニュートラル化が重要である。そのため、国は建築物への木材利用を推進している。本研究は、市街地更新を契機とした建築物の木造化に着目し、環境性にどのような影響を与えるかを明らかにすることを目的とする。まず、行政計画より対象地における木造化の方向性を整理した。次に、個別建物について木造化の条件を設定した後、RC造と木造を比較したCO3排出量を評価した。最後に、札幌都心部での木造化を想定し、市街地更新を契機とした都市の木造化の有効性を評価した。その結果、建築物の木造化がLCCO2削減に寄与することと、都市の特性に応じた施策の重要性が明らかになった。
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東京都23区のマーケッ ト147事例の空間利用特性に基づく分析
児玉 陽斗, 細矢 瑞稀, 遠藤 優奈, 福井 勇仁, 泉山 塁威
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
571-578
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
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本研究の目的は、東京都23区のマーケット147事例を対象に現状分析を行い、マーケットの運営傾向、近隣住民との関係及び店舗配置計画の特徴を明らかにすることである。研究方法として、対象となるマーケット147事例についてクラスター分析を行い、5つの類型に分類した上で、各類型の特徴を詳細に把握するためにマーケット運営団体へのアンケート調査を実施した。研究の結果、近隣住民の憩いの場として機能する「交流拠点型」、地域団体が主体となり公有地で開催される「道路等公有地型」、地域の情報発信の場となる「寺社等住宅地型」、商業地においてイベント的に開催される「商業イベント型」、大規模な商業地で高頻度で開催される「商業日常型」という5類型の特徴が明らかとなった。本研究の結論として、公共空間におけるマーケットの開催においては、住宅地と商業地という空間特性に応じた異なるアプローチが重要であることが示唆された。
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シンガポールにお ける「Pilot BID Programme」の仕組み及び成果の分析
深津 壮, 小野寺 瑞穂, 泉山 塁威
原稿種別: 事例報告
2025 年60 巻3 号 p.
579-586
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
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本研究では、日本版BIDにおいて検証の仕組みが不足するという課題に着目し、シンガポールの「Pilot BID Programme」の分析を通じて、段階的なBID制度の活用手法として「実験的BID制度」の有効性を明らかにすることを目的とした。研究方法としては、シンガポールの都市再開発庁及びエリアマネジメント団体へのヒアリング調査と現地調査を行い、プログラムの制度設計、運営体制、活動内容等の特徴及び成果を分析した。その結果、「Pilot BID Programme」では各地区に自由度を与えた柔軟な負担金徴収方法や補助金・伴走支援・調整機能といった包括的支援体制等により、後の本格的な法整備に向けた検証及び基盤構築を可能としたことが確認できた。これらの知見から、日本においても同様の試験的仕組みを導入することにより、エリアマネジメント団体の組織基盤の構築と地域特性に応じた仕組みの検証が促進され、日本版の普及拡大に寄与することが示唆された。
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石巻市半島沿岸部を対象として
吉田 萌花, 荒木 笙子, 山梨 裕太, 苅谷 智大, 姥浦 道生
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
587-594
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
フリー
本研究では、東日本大震災後最も多い地区で防集事業が導入された宮城県石巻市の、半島沿岸部の防集団地が造成された集落を対象に、立地条件、住民属性、漁業実態を踏まえた上で住宅形態別の居住実態とそれに影響を与える要因を明らかにし、事前復興や災害復興における今後の防集団地の計画について示唆を得ることを目的とする。自力再建宅地は、基本的に集落に被災前から居住していた世帯が居住しており、特に漁業継続のための中心的な役割を担っていることが明らかになった。災害公営住宅は、入居世帯の約85%が被災世帯で、拠点性や漁業規模、戸数規模の大きい防集団地ほど、住宅ストックが限られる半島沿岸部において移住者の居住場所として機能していることが明らかになった。これらのことから、今後の過疎地域における防集事業の計画への政策的な示唆として、居住希望調査を綿密に実施した上で戸数を決定するような住宅ストックが限られる地域においては、災害公営住宅が将来的な移住者の居住先として機能する可能性が挙げられる。
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中枢中核都市の業務用途に着目して
内田 祐一朗, 村木 美貴
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
595-602
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
フリー
我が国では、民間開発を誘導するために、都市再生における容積率緩和制度の活用が進められており、各地方自治体では民間開発を促進するための制度を独自に策定している。しかし、地方都市において容積率緩和が経済的なインセンティブとして活用できるかどうかは定かではない。そこで本研究では、全82中枢中核都市を分類し、各分類のオフィス市況を調査するとともに、札幌市を対象に容積率緩和制度適用による割増不動産価値を推計した。その結果、札幌市では容積率緩和はインセンティブとして成立するものの、札幌市よりもオフィス賃料や空室率が低い都市ではインセンティブとして成立しない可能性があることが示された。
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ペルソナ分析からみるターゲット別の課題
山渕 智也, 松場 拓海, 室岡 太一, 谷口 守
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
603-610
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
フリー
近年,地方部を中心とした地域の担い手不足の解消に向けて,特定の地域に継続的に多様な形で関わる「関係人口」という概念に注目が集まっている.しかし,コロナ流行により関係人口を取り巻く状況は大きく変化したと考えられる.本研究では,国土交通省による調査データを用いて,訪問型関係人口についてコロナ禍の関わり状況によって分類された「継続・復帰・中止・新規」の4つの群に注目しながらそれぞれのペルソナを明らかにした.その結果,1)テレワーク利用や近隣地域への関わりなどハードルの低い活動を行う類型が継続していること 2)ビジネスにより得た縁よりも,親族や知人などによる私的な縁による関わりの方が継続性に期待できること 3) コロナ禍以降において遠方地域からの関わりや集積地での趣味・消費型の活動が多く始まっていることなどが定量的に示された
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福岡市周辺のDID における位置情報データを用いた行動分析
出﨑 貴仁, 黒瀬 武史
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
611-618
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
フリー
少子高齢化が進む現代社会において、身体活動の促進を通した健康寿命の延伸は重要な課題である。本研究では、福岡市周辺の人口集中地区に居住する通勤勤務者の退勤時立ち寄り行動と休日外出行動との関係について、位置情報データを用いた分析を行った。通勤交通手段別に比較すると、鉄道利用者は他の交通機関より立ち寄り頻度が高く、公共交通機関利用者では休日の身体活動量が高いことが明らかになった。また、同じ交通手段内での2群比較では、鉄道利用者と自動車利用者に立ち寄り行動の有無と休日の外出頻度に関連性が確認された。さらに、鉄道利用者について、居住地周辺での立ち寄り行動が休日の身体活動量と関連することが明らかになった。
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多様な活動パターンを考慮したパーソントリップデータの都市計画への実践的活用
ボラティンスキー バディム, 大佛 俊泰
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
619-625
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
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従来の都市活動拠点の検出に関する研究は、就業地、商業地といった特定の拠点に着目する傾向があり、多様な機能を持つ拠点の空間分布を十分に捉えきれていなかった.本研究では、人々の活動内容を「仕事」、「買い物・娯楽」、「通学・通院等」の3つのグループに分類し、それぞれの空間分布特性を考慮した新たな都市活動拠点の検出手法を提案する.まず、各活動グループに応じて都市活動拠点を検出する空間自己回帰モデルのハイパーパラメータを調整することで、各グループの活動拠点の検出精度の向上を試みる.次に、得られた3種類の活動拠点を2つの異なる手法で統合し、単一の活動拠点を構成した.その結果、都市活動拠点の空間分布がより正確に表現され、都市における多様な機能をバランスよく反映することが可能となった.さらに、本手法は各拠点における特定の機能だけでなく、機能混在箇所の推定が可能であり、大都市圏および地方都市における都市計画へ実践的に活用することが可能である.
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任 伊晗, 大澤 義明
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
626-633
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
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静穏な水面に映る「倒景」は,日本における風景鑑賞の文化的伝統を象徴する要素であり,逆さ富士に代表される視覚的現象として広く認知されている.本研究では,緑地管理の観点から,葦や雑草などの草木成長と水面における倒景の視覚的構成との関係性を数理的に解析することを目的とする.河川沿いに等間隔で植栽された桜並木を取り上げ,観察者の視野内に映り込む樹冠を立体角により定量化する.さらに,草木成長に応じて水面に映る逆さ桜並木の倒景がどのように変容するかが明らかとなり,景観美の形成およびその視覚的認知に関する一助となる知見を提示するものである.
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望ましい歩行距離を達成する施設配置と平均死亡率を抑制する施設配置
栗田 治
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
634-641
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
フリー
本研究は,歩行がもつ健康効果を都市計画に活かすためのモデル作成を目指すものである.具体的には,長方形の都市地域で一様な人口分布を想定し,理想的な歩行距離を達成するための単一あるいは複数の施設の最適配置問題,ならびに地域住民の平均死亡率を望ましい水準に抑えるために商店街の長さを決定する問題,の両者を定式化した.1施設の場合は最適解を解析学的に詳細に吟味した.そして2施設以上の場合は数値解法を提案した.商店街の設計モデルにおいては,地域内の各地点における死亡率の等値線を通じて,不便であることの幸い,という価値観を示すことにも成功した.本研究を通じて,徒歩による健康効果を都市計画に組み込むための重要な示唆が得られた.
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張 沢立, 吉田 凜, 田沼 宏行, 田中 健一
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
642-649
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
フリー
我が国における近年の夏季の猛暑は一層深刻化しており,国民生活に甚大な影響を及ぼしている.猛暑時に人々が外出を控える行動は,都市における生活ニーズの充足に関わる重要な社会問題と位置付けられる.なかでも食料品は最も基本的な生活必需品であり,食料品へのアクセスの確保は都市生活の維持に不可欠である.本研究では,日本全国を網羅する食料品の日付情報を有する購買履歴データを活用し,気温および湿度データに基づき不快指数を算出し,高温多湿な気象条件が人々の購買行動に与える影響を明らかにする.不快指数が特に高い日と低い日をグループとして抽出し,両者の特徴を都道府県別に整理した結果,購買回数において,両グループ間に顕著な差異がみられた.また,不快指数の高低差が激しい北日本の地域ほど,購買傾向の差異が大きいことが明らかになった.本研究の成果は,猛暑時における食品アクセシビリティの課題を考察する上での基礎として,今後の研究の発展に向けた有益な示唆を提供するものと考える.
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高橋 南織, 雨宮 護
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
650-656
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
フリー
街歩きガイドツアーにおいて多く見られる参加者の写真撮影行動について、既往研究では、写真撮影により撮影対象物等に関するシーン記憶に正負両面において影響を与える可能性と写真撮影をしている間のエピソード記憶を抑制する可能性が報告されている。本研究では、街歩きガイドツアーにおいて重要である地域の特色を伝えるという観点から写真撮影行動の意味を明らかにする。茨城県土浦市において現場歩行実験を行い、疑似的な街歩きガイドツアーを行った後、実験参加者に対してアンケート調査からシーン記憶とエピソード記憶に関する回答を得た。分析の結果、写真撮影は、撮影対象・撮影対象外の街並みに対してシーン記憶に有意な影響を与えず、エピソード記憶を抑制することが明らかになった。一方、自発的な写真撮影はシーン記憶に正の影響を与える可能性が示唆された。
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田中 健一
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
657-664
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
フリー
近年,歩行者が快適で安全に暮らせる活気あるまちづくりを目指す議論が盛んである.また,都市計画学においても歩行を促す都市空間の評価や設計に関して,実都市の事例に基づく有益な知見も蓄積されつつある.一方で,現実を抽象化した数理モデルを構築し,歩行からみた都市空間の評価やインフラ適正配置を追求する試みは乏しい.本研究では,格子状網を有する矩形都市における様々な地点間の移動を想定し,歩行により移動する確率が,移動距離に対して指数関数的に減衰する構造を仮定し,各地点における歩行者の通過量を解析的に導出する.この結果は,連続近似モデルを用いた都市内の都市内通過量モデルを,徒歩と車両の交通手段選択を考慮して一般化したモデルと位置付けられる.さらに,歩行者の安全性や移動の快適性を評価する指標として,同一方向における歩行通過量と車両通過量の積を計算し,両者の交錯機会をモデル化する.これを都市全体で合計した値は,トリップに歩行と車両が一定程度以上を占める都市で大きな値を取り,空間設計において,歩行者の安全性や快適性を確保する工夫が必要であることを示唆している.
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第一種低層住居専用地域において交通面の影響が課題となった中小規模の施設に着目して
安藤 亮介, 勝又 済
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
665-672
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
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用途地域で制限されている建物用途の立地については、特定行政庁が当該施設の立地による周辺市街地への環境影響を事前に審査し、建築基準法第48条ただし書の許可(特例許可)を行うことにより可能である。しかし、施設の立地による周辺への影響評価が必ずしも確立されていないため、許可件数は比較的少なくなっているものと考えられる。こうしたなかで、特例許可を受けた施設の具体的な立地場所の傾向や審査の過程で指摘された市街地環境に関する課題の内容等の情報は、地域のニーズに柔軟に対応するにあたり重要な情報となる。本研究では、審査の過程で課題となることが多い交通面の影響が課題となった特例許可案件に着目し、全国の第一種低層住居専用地域において特例許可受けて立地している施設周辺の地域特性を分析した。特例許可を受けて立地している施設周辺の地域特性を5つの類型に分類し、類型ごとに指摘された交通面の課題の傾向を把握することで、用途規制緩和の運用に当たっての参考情報を示した。
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小川 大智, 羽藤 英二
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
673-680
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
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道路空間の再配分は、複数の交通手段の高い効用を実現するための重要なテーマの一つである。効用理論に基づく経路選択モデルは、ネットワークの性能を評価する基準を提供し、交通配分手法はネットワークの流動容量を議論するのに有用である。混雑したネットワークにおいて均衡状態を導出する手法はいくつか存在するが、複数交通手段が混在するネットワークにおいては、交通手段間の非対称な相互作用により、複数の均衡状態が生じる可能性があり、既存の推定・シミュレーション手法が必ずしも適用可能とは限らない。本研究では、制限ボルツマンマシン(RBM)から着想を得た逐次的(day-to-day)配分手法を提案し、その計算上の実行可能性を示す。
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居住誘導区域におけるx-minute cityの実現実態
室岡 太一, 松浦 海斗, 谷口 守
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
681-688
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
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人口減少下において自動車に頼らずに自宅周辺で生活を完結させるx-minute cityの実現に際し,立地適正化計画と対応していくことが重要になる.しかし従来の居住誘導区域に関する評価では,居住誘導区域からどのような手段で実際にどこへ訪れているのかといった点は不明であった.そこで本研究では,高精度に緯度経度情報を取得できる第6回東京パーソントリップを用いて,ODパターンの分析を行った.その結果,1) 主な移動先は都誘区域ではなく居誘区域内で済んでおり,生活サービスの集約を企図する都誘区域まで多くの人が徒歩・自転車・公共交通で訪れていないことや 2) 居誘区域内において,誘導区域外と人口密度に差をつけることで,居誘区域が誘導区域外に比べて自動車利用を抑えることができる可能性があることが明らかになった.
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制度創設10年経過時点における立地適正化計画策定自治体343都市を対象にして
川野 裕司, 大庭 哲治, 須﨑 純一, 石井 順恵
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
689-696
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
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本研究は,用途地域に着目した居住誘導区域の境界設定とその内外隣接エリアにおける地価への因果的影響を明らかにすることを目的に,全国の立地適正化計画策定自治体343都市を対象に,地理情報データを収集・整備し,独自の分析データセットを構築した.その上で,居住誘導区域の境界線隣接エリアにおける用途地域の指定状況を可視化し,境界線の設定実態を定量的に明らかにした.さらに,因果推論の枠組みのもとで,傾向スコアマッチング法を用いた地価分析を行い,境界線の内外隣接エリアでの地価の差異や比率を実証的に検証した.その結果,居住誘導区域の境界線が用途地域に沿って設定されているエリアは全体の57.3%を占め,内側隣接エリアでは住居系用途が平均80.9%に達している一方,商業地域を外側に設定する例は少なく,工業地域を外側とする傾向が確認された.地価分析では,非線引き都市を除く対象都市で,区域内の地価が外側より平均8.2万円(比率で50.2%)高く,特に都市部でその傾向が顕著であることを明らかにした.住居系用途に限定すると,区域内の地価は平均2.2万円高く,34.4%のプレミアムがあることを明らかにした.
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海域及び陸域の当事者が有する権利利益の法解釈学的分析
小林 寛, 樋野 公宏, 浅見 泰司
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
697-704
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
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洋上風力発電に伴う地域共生基金の地域内での配分協議に関して、海域と陸域の当事者それぞれの制度的正当性を分析し、協議を進める際の共通認識となるべき事項について、次の内容を政策規範として提示した。
[1] 制度的正当性は、「原告適格性」(法律上保護される権利利益を持ち、海域に風車が設置されることで影響を受けること)と「損失の不可避性」(社会経済的な損失が避けられないこと)の要件から構成される。ある当事者の権利利益が両方の要件を満たすならば、その者は代償措置としての共生策の前提となる、基金の配分に関与する制度的正当性を有することを意味する。
[2] 海域では、漁業に関する権利利益が要件に該当する。陸域では、地域住民が有する景観利益が法律上保護に値し、基礎自治体は住民が有する景観利益を代表する立場として要件に該当し得る。
[3] 最高裁判例の見解を考慮すると、景観利益が住民の共同利益として公的に形式化されていない場合には、陸域の景観利益よりも海域の漁業に関する権利利益(経済的実態を持つ財産的権利)の方がより配慮されるべきと解釈できる。
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地方自治体とJリーグクラブの協業を対象に
髙橋 俊哉, 井上 拓央, 中島 弘貴, 梁 イェリム, 古賀 千絵, 新 雄太, 渡部 一郎, 小泉 秀樹
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
705-712
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
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プロスポーツクラブがその価値を発揮するためには、自治体との連携や地域の社会課題の解決など、公共的な役割を果たす必要がある。行政計画の分析を通じて、行政はスポーツクラブに「医療・健康・教育」「地域活性化」「地域コミュニティ」の役割を期待していることが分かった。一方、Jリーグクラブのホームタウン活動の実態については、アンケート分析を通じて、計画の記述と異なる点が散見された。ヒアリング調査からは、プロスポーツクラブが自らのリソースを活用し、まちづくりをはじめとする幅広い分野で社会課題の解決に貢献し、政策の推進に積極的に関与していることが明らかになった。
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自治体属性に着目した基礎的研究
川﨑 薫, 森本 瑛士
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
713-719
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
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近年,日本においては少子化が重大な課題となっている.合計特殊出生率が人口置換水準を大きく下回る中で,新たに希望出生率という目標値が設定された.
しかし,この数値は全国一律の目標設定であり,国内の市区町村もそれに倣ってしまい,自ら過大な目標設定を実施している可能性がある.
そこで本研究では,実際に市区町村別に希望出生率を算出し,その数値の大小に影響する自治体属性を明らかにした.
結果的に,大半の自治体では目標値を下回っており,過大な目標設定であることが明らかになった.
また,児童福祉費や同一自治体内での勤務が多い場合,希望出生率が高まりやすいことが明らかになった.
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札幌都心部を対象として
上野 樹, 村木 美貴
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
720-726
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
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わが国は、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、都市活動に起因するCO2排出量の削減が喫緊の課題となっている。都市におけるエネルギーの面的利用として地域熱供給事業が展開されているが、その多くは化石燃料に依存しており、再生可能エネルギーによる熱供給の導入は限定的である。近年、再エネ熱とコージェネレーションシステムを併用した地域熱供給システムの構築が注目されているが、再エネ熱の供給量は地理的条件や気候特性、地域の熱需要パターンに大きく左右されることから、地区特性を踏まえた最適な活用手法の確立が求められている。そこで本研究は、再エネ熱を活用した地域熱供給事業のあり方について、地区特性を考慮した再生可能エネルギー熱供給整備のあり方をあきらかにすることを目的とする。具体的には、札幌市都市部に多く賦存する太陽熱・地中熱・下水熱に着目し、環境負荷および費用の観点から評価した。
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岐阜県飛騨市の住民へのアンケート調査から
関根 仁美, 武田 裕之, 加賀 有津子
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
727-734
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
フリー
近年、国や地方自治体を中心に注目を集める「関係人口」は、地域外に住みながら継続的に地域と関わる存在として、地域の内発的発展に寄与することが期待されている。内発的発展とは、地域住民が主体となり、外部の力も柔軟に活用しながら進める発展のあり方を指す。本研究では、関係人口による内発的発展を関係論的発展と定義し、これに関する知見を得ることを目的に、岐阜県飛騨市の住民を対象とした調査を実施した。その結果、関係人口という言葉自体の認知度は低いものの、地域運営への参加には前向きな意見が多かった。さらに、地域の分野によって関心の傾向に違いが見られ、住民は活用意識により5つの類型に分類された。各類型では、個人属性や市外の人々との関係、関係人口の認知度、地域変化への態度に特徴が見られた。これらの結果をもとに、行政が内発的発展を目指す際に必要とされる住民支援のあり方について考察した。
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植田 直樹, 斎藤 すみれ, 村上 暁信
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
735-742
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
フリー
近年は企業の環境・社会貢献を促す仕組みが重要視されている。そのためには企業の取組みを簡潔に共有可能な第三者認証が有効であり,日本では既にSEGESやABINCなどの認証制度が活用されている。そこでこの二つの認証取得とそれらを取得した企業が開示する統合報告書ならびに非財務情報報告書(以下,対象報告書)の関係を調査した。その結果,認証取得企業の約36%が対象報告書を発行しておらず,認証取得の目的は投資家への情報開示に限定されていないことが判明した。そして認証取得の効果を企業が実感できないことが確認できた。企業緑地整備に向けた取り組みを認証制度の活用によって拡大させていくためには,認証取得の価値を明確にし,さらには認証取得によって企業が社会的要請に応えていることを実感し社会に発信できるような機運醸成の取組みが求められる。
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千葉県下の目標・実態ギャップと管理体制に着して
永村 景子
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
743-750
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
フリー
本研究は、千葉県内の基礎自治体が管理する都市公園において、芝生等のグラウンドカバーの修景状態と管理体制の実態を明らかにし、修景評価手法の枠組み構築を試みたものである。アンケート調査、現地踏査、ヒアリング調査を通じて、管理者の意識、季節変動を伴う芝生の状態、および維持管理に関する実務的判断を多面的に把握した。調査の結果、芝生の修景状態と管理目標の間には一定の乖離が存在し、その背景には予算・人員・専門性の差異などがあることが示された。また、芝生修景状態は季節によって大きく変動し、単一時点での評価では実態を捉えきれないことが明らかとなった。こうした実態を踏まえ、草丈の均一性、裸地の有無、雑草の混入状況の3項目に基づく視覚的指標による定量的な評価枠組みを提示し、比較可能かつ実務適用可能な評価手法の可能性を示した。今後は、地域特性や利用目的を加味した柔軟な管理方針の構築と、その実効性を高めるための支援ツールの整備が求められる。
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東京都練馬区を対象として
板谷 俊太郎, 竹内 智子
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
751-758
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
フリー
近年の気候変動による水害の増加により、グリーンインフラ(GI)の重要性が高まっている。GIの機能の一つである雨水浸透機能において、地方自治体が活用している評価手法は、土地被覆の分類や浸透能力の設定における根拠が不明確である。本研究では、東京都練馬区の緑地において雨水浸透機能の計測を行い、実測結果より以下の点が明らかになった。芝地や裸地では利用形態により、雨水浸透機能が倍以上異なった。農地では耕耘している畑地と締固められている裸地間で雨水浸透機能が大きく異なった。また、実測結果より踏圧を考慮した評価手法を提案した。本研究で提案した手法と地方自治体が活用している手法の比較では、土地被覆分類方法の違いによって、最大12.6mm/hの評価結果の差異が見られた。踏圧を考慮した土地被覆分類方法を用いることで、緑地の雨水浸透機能をより正確に評価できるようになると考える。
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柏の葉アクアテラスと従来型調整池の比較を通じて
大久保 誓也, 越智 雄大, 三牧 浩也, 小野 悠
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
759-766
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
フリー
調整池は本来、防災機能を中心に設計されるインフラであるが、都市住民にとっての生活や文化的価値も担いうる存在である。本研究では、千葉県柏市の「柏の葉アクアテラス」を主対象とし、立ち入りができない従来型の調整池を比較対象とすることで、人々がアクセスできる調整池が都市住民の生活や文化に果たす役割を「生活・文化機能」として定義し、その実態と評価構造を明らかにした。住民アンケート(有効回収数464件)をもとに、数量化Ⅲ類・クラスター分析により3つの生活・文化機能を抽出した。その結果、調整池は身近な活動を支える基盤的価値、交流や学習を通じた社会的価値、水辺環境を活かした自然的価値を内包する空間であることが示された。さらに、共分散構造分析の結果、「知識・利用」→「必要性」→「愛着」→「評価」という段階的プロセスが統計的に有意であり、とくに調整池としての意味の理解が住民の愛着や評価に深く関与していたことが明らかとなった。本研究は、調整池を防災と文化の両面から再評価する視点を提示し、都市水辺空間整備に対して新しい概念的枠組みを提供するものである。
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課外活動の経年変化に着目して
松浦 海斗, 山渕 智也, 谷口 守
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
767-774
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
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多様な活動を体験することは子どもの発達にとって不可欠であるが,近年の社会変化に伴って,子どもの体験につながる日常的な生活行動に変化が生じている可能性が考えられる.そこで本研究では社会生活基本調査を用い,2006年から2021年にかけての子どもの課外活動の実施状況を調査した.その上で,活動の実施頻度に基づき子どもを分類した上で,類型ごとの人口分布や個人・世帯属性の特徴を明らかにした.その結果,1) ほとんどの活動の実施が限定される「インアクティブ型」が最多となり,その割合は低所得世帯に多くかつ年々増加していたこと,2) スポーツ,文化,ボランティア活動に積極的に参加する子どもは減少傾向にあり,所得や地域によって参加状況に顕著な差があることが明らかとなった.
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コンバージョンビレッジ指定3地区の指定後の動向からみて
鶴田 佳子, 小塚 遥仁
原稿種別: 調査報告
2025 年60 巻3 号 p.
775-782
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
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デンマーク計画法改正で導入された、農村地域における魅力的な居住地形成のためのコンバージョンビレッジ制度を、制度運用地区について調査を行った。調査の結果、開発型の運用をする地区では、開発規模を限定する規定が地区の開発方針と合致せず、コンバージョンビレッジ指定を取り消していたことがわかった。環境保全型の運用をする地区では、用途地域に相当するフレームワーク指定により開発を抑えつつ、開発目的のローカルプランを併せて策定し、地区の開発構想実現のためのツールとして制度が利用されていた。しかし、当初の構想範囲より限定的になり、エリア画定の課題が指摘できる。
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愛知県長久手市の取り組みを事例に
吉村 輝彦
原稿種別: 事例報告
2025 年60 巻3 号 p.
783-790
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
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これまでの行政主導の、また、対行政の「住民参加」から、多様な主体と協働して進める、「市民参加」への変化が見られる。同時に、行政が進める政策や事業、計画づくりへの市民参加だけではなく、市民が一主体として、私発で実践する多彩な取り組みが広がる等新たな参加の様相を見せている。社会が変化していく中で、改めて、これまでの地域づくりの取り組みや進め方を見つめ直し、「行政計画」や「市民参加」そのもののあり方を捉え直す機会となっている。そこで、本研究では、長久手市における10年以上にもわたる取り組みの変遷を見ていくことで、「行政計画」と「市民参加」が、どのような関係の中で、政策化・制度化・仕組み化等がされてきたのか、また、どのような捉え直しのもとで、「行政計画」や「市民参加」の内容が位置づけられているのかを明らかにし、また、「行政計画」や「市民参加」の今後のあり方を示した。
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森島 明日香, 金 度源, 松井 大輔, 大窪 健之
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
791-798
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
フリー
「個人の生き方や生活の質に対する願望が移住の意思決定に大きく影響を与えている現代的な移住」と定義されるライフスタイル移住という概念がある。本研究では、ライフスタイル移住者の地域コミュニティへの適応プロセスとその要因を把握することを目的として調査を行った。結果として、適応要因は大きく4つに分類することができ、【地元住民との交流】、【人間関係の広がり】、【深い交流】、【地域とのつながりと自己有用感】があることが明らかとなった。不適応要因は大きく5つに分類することができ、【移住前・移住初期の不安】、【物理的孤独】、【慣れない環境】、【精神的孤独】、【地元住民との関係性】があることが明らかとなった。
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樋口 恵一, 村上 滉一, 長野 博一
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
799-806
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
フリー
木密地域の市街地整備が長期化している状況下において,住民の日常生活に目を向け、木密地域での「住」の継続を考えると,市街地整備のみならず日常生活に関する「衣」「食」に関わる買物に関する支援を同時に進めていく必要性が高い.そこで本研究では名古屋市の木密地域を対象に,徒歩アクセスに基づく買物不便度ならびに住民の生活実態を踏まえた評価に基づき,木密地域における今後の買物支援策の検討に向けた知見を得ることを目的とする.分析の結果,「買物を行う場」については,住居からの近接性を選好する傾向があり,木密地域においては『空き地活用』や『商店街の再生』を望む意向が高い.パーソナルモビリティのうち自らが移動する【自走型】であるシニアカーの利用意向は約50%であるが,所有意向については敷地面積の狭さや高齢化など木密地域特有の課題が影響している.パーソナルモビリティの【配送型】である自動運転配送ロボットについては,若年層を中心に導入意向が高いものの,スマートフォンアプリで予約することに抵抗がある高齢層などが操作の難易度を懸念している傾向がある.
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栗原 弘希, 佐藤 宏亮
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
807-813
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
フリー
PPPによる公共施設と民間施設の一体的事業について、全国的な実態は不明瞭であり、特に当該事業の与える影響が大きい地方中小都市における事業に着目した分析は重要だと考えられる。本研究ではPPPでの公共施設と民間施設の一体的事業の全国的な実態を把握するとともに、事業特性と事業方式の選択理由から地方中小都市におけるPPP活用の全体像を明らかにし、事業成立性について考察することを目的としている。自治体による公開資料を中心に調査したところ、全国的にはPPPを活用し施設機能の集約化を行う傾向にあり、地方中小都市については方式の多様な選択がみられた。これら地域では特に施設機能や事業規模において方式ごとに違いがみられ、主に規模を理由として方式の選択がされていた。また、公共機能の多機能化事業や規模の大きい事業ではPFI方式を、地方ゆえにそれほど規模が大きくならない場合はDBO方式等を選択するなど、方式ごとの事業成立性について考察した。
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石川県社会福祉法人佛子園「西圓寺」を対象として
武田 侑哉, 篠原 百合, 石川 夏帆, 藤井 さやか
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
814-821
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
フリー
近年、誰もが排除されることのない社会的包摂の社会の実現が目指されている。しかし障害者が地域の中で安心して過ごす生活の場は未だに整っていない。よって、障害者と地域住民が日常生活を共にし、両者の間の軋轢を断ち切ることが重要である。本研究では、石川県の社会福祉法人佛子園が運営するごちゃまぜ多機能福祉拠点「西圓寺」に着目し、拠点の利用・交流実態とごちゃまぜの認識・課題を明らかにすることを目的とする。利用行動調査とインタビューの分析を通じて地域住民が福祉サービス利用者と日常的な共存や交流を経験し、認識の変化が生まれ、社会的包摂が促進されていることが明らかになった。一方で、ごちゃまぜを成立させるスタッフの業務負担の増加、福祉サービス利用者へのケアの不足、不適切行為に対する地域住民の不安、また拠点の持続可能性といった課題もがあることもわかった。以上より、ごちゃまぜ多機能型福祉拠点を実現させるには地域に向けた事業と福祉事業のバランスをとる経営手法と障害の程度や特性に適した多様なケア方法の確立、またごちゃまぜを実現させる福祉人材の育成することの重要性が示唆された。
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神戸市深江地区まちづくり協議会での実践を事例として
田中 椋, 吉野 和泰, 福本 優, 石原 凌河, 野村 はな, 阿久井 康平, 松尾 薫, 白石 将生, 蕭 耕偉郎, 松本 邦彦
原稿種別: 事例報告
2025 年60 巻3 号 p.
822-829
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
フリー
近年,エリアの将来ビジョンを多主体協働で描き,その実現に向けて逆算的に計画検討を進めようとする取り組みが増えつつある.しかし,市民や自治体など立場の違いや事業に対する理解の程度などを乗り越え,市民の創造的な発意を促し,実現したいと思う暮らしに立脚してビジョンとして描くための手法はいまだ十分に確立されていない.このような問題意識のもと,日本都市計画学会関西支部では30周年事業の一環として,若手の研究者,実務者,行政職員,大学院生などにより「ライフスタイルが紡ぐまちのみらい研究会」が組織され,研究成果としてまちづくりゲーム「紡ぐ・ビジョン・MATCH-まちの未来をソウゾウする-」が開発された.本研究では,同ゲームを活用して進められた神戸市深江地区における市民ワークショップのプロセスの分析を通じて,1) 市民が描くまちの将来イメージの実態と2) 将来イメージとまち歩きの組み合わせにより地区内の空間改変との結びつくアイデアが発意される可能性を明らかにした.市民発意を促し,市民が実現したいライフスタイルを基軸とした地域の将来像を描くうえで,本ワークショップ手法の有効性について考察を行った.
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丸岡 陽, 松川 寿也
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
830-837
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
フリー
市街化調整区域は原則として市街化を抑制するべき区域であるが、市街化区域編入が可能な既成市街地要件を満たす既存集落や住宅団地等が存在する。本研究は、全国の地方線引き都市の調整区域既成市街地の実態と編入の可能性を把握し、区域区分制度を始めとする都市計画行政の課題を明らかにすることを目的とする。分析の結果、調整区域既成市街地は全国74市町に160地区存在し、その形成経緯は線引き前の集落からごく最近の開発地まで多様であった。また都市計画マスタープランで住居系土地利用の方針を有するものは多いが、編入の方針を有するものは僅かである。大規模な調整区域既成市街地のある都市でも、全市的な立地適正化計画との整合性や都市基盤の状況を背景に、編入に慎重な立場を示した。これらを踏まえ、既成市街地要件に将来性に関する基準を追加すること、調整区域既成市街地を存置する場合もそのモニタリングが必要であることを提言した。
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齋藤 岳, 松川 寿也, 丸岡 陽
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
838-845
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
フリー
本研究は、人口フレーム枯渇下の地方線引き都市における拡大工業地域での建築制限の実態を明らかにし、人口減少に対応した区域区分制度のあり方を検討することを目的とする。
近年の拡大工業地域を持つ16都計区域の多くは人口減少が進行している一方で、工業系市街化区域は減少人口フレームに関係なく拡大されていた。また、多くの拡大工業地域では工業フレームを根拠した編入でありながら、店舗や福祉施設等に対する建築制限が設けられておらず、一部の都市では住宅の立地や恣意的な店舗規制の緩和も試みられていた。ただ、工業系市街地での土地利用方針を定めることで工業流通業務以外の施設を制限する建築制限を制限指針として要請する県もあり、工業フレームに適合した土地利用を促す対応もされていた。
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松本 稜太朗, 松川 寿也, 丸岡 陽
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
846-853
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
フリー
本研究は、立地適正化計画策定後に新たに策定された市街化調整区域地区計画を対象に、両計画の関係性を明らかにし、立地適正化計画と整合する市街化調整区域地区計画のあり方を検討することを目的とする。誘導施策と市街化調整区域地区計画での齟齬が生じ得る6都市では、市街化区域の編入等が困難であることから地区計画の活用に至った経緯があるが、立地適正化計画を踏まえた検討が十分に行われていないことが窺えた。都市機能誘導の観点、居住誘導の観点ともコンパクトシティを理念に掲げる立地適正化計画との整合性が図られていない現状が確認され、制度連携の課題が政策的矛盾発生の一因であることが指摘された。
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社会福祉法人佛子園 西圓寺を対象として
篠原 百合, 武田 侑哉, 梁 イェリム, 中島 弘貴, 新 雄太, 井上 拓央, 渡部 一郎, 古賀 千絵, 藤井 さやか, 小泉 秀樹
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
854-861
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
フリー
近年、包摂的な社会の実現に向けて福祉施設の地域開放が進められているが、その具体的な取り組みや、ケアラーに及ぼしている影響については、実証的な研究が乏しい。そこで本研究は、石川県小松市に立地する西圓寺を対象に、施設のハード・ソフト両面における工夫、それに対するケアラーの評価、ならびに地域住民・利用者・ケアラー間の関係性の形成を明らかにすることで、ケアラーに対する影響の側面から地域に開かれた福祉施設のあり方について考察することを目的とする。アンケート調査及びインタビュー調査の分析の結果、地域開放が、ケアラーの負担軽減やケアの質の向上に寄与することが明らかとなり、地域に開かれた福祉施設の実践が、ケアラーを含む多様な主体の関係性の形成を通じて社会的包摂を促進し、包摂的な地域づくりに資する可能性が示された。
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冨岡 秀虎, 浅野 周平, 森本 章倫
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
862-868
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
フリー
本研究の目的は、本源需要の特徴を明らかにすることを通じて本源需要を判別する手法を構築し、本源需要の時系列的推移を明らかにすることである。分析の結果、以下が明らかとなった。第一に、webアンケート結果から、本源需要の特徴が明らかとなった。派生需要(私事・業務)と比較して、本源需要は利用頻度が少なく、滞在時間が短い傾向にある。第二に、本源需要の時系列的推移を明らかにした。本源需要による利用者割合は、平日では、開業直後で18.6%、開業から約1年後で6.0%である。土休日では、開業直後で45.1%、開業から約1年後で22.9%である。また、本源需要による利用者数は、開業から約1年後には、平日では開業直後の43.6%、土休日では開業直後の34.0%に減少する。
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PT 調査における移動時間に着目して
戸塚 健太, 森本 瑛士, 高瀬 達夫
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
869-876
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
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地方都市では,路線バスが主要なネットワークとなることが考えられる.しかし,路線バスを広範囲で維持することは難しい.維持するにあたって,利用者数の確保が重要である.そこで,本研究では利用圏外からも多く利用されているバス停の特徴などを分析することで利用圏の拡大から利用者数増加に向けた検討を試みる.分析の流れとしては,実際にバス停によって圏域に差があるかを把握し,差が生じる要因の分析を行った.その結果として,高齢層はバス停周辺の施設を優先的に利用していることが示唆された.また,利用圏が大きい要因としては,総移動時間が長いこと,バスの運行頻度が高いこと,到着地が交通施設(駅など)であることが分かった.
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福岡市のGPSデータを用いたケーススタディを通して
杉山 錬, 岡田 潤, 出口 敦
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
877-884
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
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本研究は、バスターミナルを活かしたまちづくりへの示唆の獲得に向け、バスターミナルで乗降する高速バス利用者の滞在行動を、駅で乗降する鉄道利用者との比較ならびにバスターミナル間比較の観点から、GPSデータを用いて様々なスケールで分析し、バスターミナルあるいは駅を起終点とした回遊過程における滞在行動と都市間移動における移動先(または移動元)での滞在行動の傾向を明らかにした。福岡市のデータを用いたケーススタディの結果、博多バスターミナル利用者は博多駅利用者に比べ、半径200~300m圏内において短時間で多くの滞在が生じていることが示された。また、福岡熊本間を高速バスで移動する人は、新幹線で移動する人に比べ、熊本市都心における面積あたりの延べ滞在時間が新幹線の利用者に比べて長いという傾向が見られた。
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宮崎 耕輔, 桑野 将司, 細江 美欧, 藤山 拓
原稿種別: 研究論文
2025 年60 巻3 号 p.
885-892
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/25
ジャーナル
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本研究では,目的地における魅力度を評価する指標である滞在時間に焦点をあて,交通系ICカードの利用履歴データを用いて簡便的に都心部における滞在時間を把握する方法を提案した.そして,混合分布モデルを活用してクラスタリングを行い,COVID-19の事前,発生中,事後に着目した都心滞在時間の特徴把握を行なった.その結果,平日と土日祝日とではその傾向が異なっていることがわかった.平日はCOVID-19の事前から発生中,事後を経験することによって,長時間滞在が減少し,中時間滞在が増加していることがわかった.特に,滞在パターンが画一化しつつあることが示唆された.一方の土日祝日については,COVID-19の事後は事前の回遊パターンに戻ってきたようであるが,事後のトリップ数が減少した層が長時間滞在者であったことが示唆された.
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