都市計画論文集
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バルセロナ旧市街における初動期の都市再生政策の特徴に関する研究
阿部 大輔
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2003 年 38.3 巻 p. 589-594

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抄録
本稿の主題は、バルセロナ旧市街における都市再生政策の初動期(1980年代)の特徴を明らかにすることである。とくに、市街地改善特別計画 PERIおよび修復事業区域ARIについて、策定の経緯とその内容を分析することにより、いかにしてバルセロナ旧市街の更新が可能となったのかについて考察する。不確定な空間的課題に迅速かつ柔軟に対応するために、地区全体計画である PERIの修正を行うことなく、特別計画 PEなどを用いて局所的に修正を重ねる手法が採用された。ARIはプログラム調整の仕組みとして形成され、市が設立した開発公社 PROCIVESAが修復や収用の計画化および実行の役割を担った。PROCIVESAは建造物の修復に関する民間事業の促進を図り、それによって官民のパートナーシップが引き出された。民間部門や住民組織の PROCIVESAなどへの参入は、都市再生へ向けた様々な主体の統合を促進し、総合的な都市再生事業の実行を容易にした。
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© 2003 公益社団法人 日本都市計画学会
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