2003 年 38.3 巻 p. 661-666
住宅市街地の景観変容はゆるやかに進む。震災により個別敷地の更新が急激に進んだ住宅市街地を調査対象地区とし、戸建て住宅の表構えの実態を調査するともに、アンケート調査により地域景観の変容過程での景観に対する居住者の評価を調査した。調査結果より、1)表構えの決定には地域の町並みの影響が期待できる、2)地域性の持続への期待と新しいデザインや素材の住宅へ更新されることによる景観変容の認識から、今後の地域景観イメージに対する期待と現実の齟齬がみられる、3)地域景観の持続はこれまでの表構えをそのまま再生することではなく地域を特徴づけている環境要因を新たなデザインのなかに継承していくことであることである。