抄録
近年、社会資本整備計画においては計画段階から地域住民の参画を求めることが重要となっており、住民意識アンケート調査などの多くの試みが実施されてきた。また、市民ワークショップ (以下 WS)が地域住民の詳細なニーズや意見・要望を収集するとともに住民主体のまちづくり活動を促進させる手法として実施されてきた。しかしながら、 WSを通じて得られた住民意識とアンケート調査で得られた住民意識の間には、提供される情報の違いや住民相互のコミュニケーションの有無等に起因して、いくつかの面で差違があると考えられる。そこで、本研究では豊橋市において実施された交通マスタープラン (MP) 策定のための WS参加者を対象とした事前事後の意識調査を実施しその分析を行うことにより、 WS参加による意識変化の程度と方向について地区特性や個人属性等の違いを考慮しつつ把握することを目的としている。その結果、多くの項目において WS参加前後で一定の意識変化が見られ、その変化の方向は地区特性や WSでの議論の内容と関係していること、 WS参加による影響を把握するためには地区特性や個人属性等による影響を同時に考慮すべきことなどが示された。