抄録
本研究は、自治体が環境・景観面から建築物の高さ制限を行うにあたり、事前に留意すべき事項を明らかにすることを目的とする。住環境の維持と景観の形成は今日、日本の都市が直面する緊急的でかつ適時な問題である。最近、高さ制限は環境の維持とより良い景観の形成を目的に、建築行為を制御すべく多くの自治体で導入が決定されている。このことからも都市計画(高度地区絶対高さ制限)の決定過程を研究することは有益なことである。本研究では、東京都新宿区を事例にとり、高さ制限の導入過程を詳しく分析・考察することにより、高さ制限導入にあたり事前に留意すべき事項として、既存不適格建築物の扱いとともに地区計画区域と大規模敷地の取り扱いが重要であることを明らかにしている。