2007 年 42.3 巻 p. 145-150
本研究では、地域生態系保全手法を議論するために、リモートセンシングを活用した緑地判読とGISを活用したコゲラの生息可能域判定による都市域におけるエコロジカルネットワーク評価手法に関する検討を実施した。都市化の進んだ東京都杉並区を対象として研究を実施した結果、高解像度衛星データおよびレーザースキャナーにより測定した地表面高(DSM)や地盤高(DTM)データを活用することで屋敷林など都市域の小規模な緑地を把握できることが明らかになった。また、高木の連続性と樹高などを条件とするコゲラの生息可能域判定手法の有効性を現地調査により確認するとともに、地域生態系の観点から重要な緑地を認識することができた。さらに、効果的な緑地整備方針を検討するため、コゲラが利用する緑地が減少するケースや新たな緑地を整備するケースなど複数のシナリオを設定・評価する計画検討手法を提案した。