抄録
本研究は福岡都心部の人口回復の実態把握を行い、人口回復と居住構造の関連性を明らかにするものである。都心部全体でどのような属性で人口回復が起きているか、町丁目単位で人口密度増減が家族類型によってどのような変化があるのか、居住地の共同住宅供給及び地価の動向とどのような関係があるのかを解析する。結果として、(1) 地価下落により29歳以下の未婚の単独世帯、民営借家の6階以上共同住宅世帯が増加している。(2)町丁目単位でみると人口密度増減は親族世帯との相関がより高く、特に人口密度減少は親族世帯減少により起こっている。全ての町丁で地価が減少し、6階以上共同住宅供給とは一定の相関がある。(3)6階以上共同住宅供給がない人口密度増加地区では建築協定により高い建物の供給が制限され、5階以下共同住宅世帯で増加している。6階以上共同住宅供給がある親族減・単独減による人口密度減少地区では既存の住宅から流出している。