都市計画論文集
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臨海工業都市空間におけるレクリエーションについて
横浜市京浜臨海部におけるレジャー空間・福利厚生空間の展開を中心に
野原 卓
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2010 年 45.3 巻 p. 181-186

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抄録
人口減少時代を迎えた日本において、コンパクトな都市空間を実現するためには、既開発空間の再編が急務であるが、その対象の一つに、工業地帯がある。日本有数の大規模臨海工業地帯である京浜臨海工業地帯は、その生産活動を継続しながらも衰退を迎えており、空間再生が模索されている。また、京浜工業地帯内部の生活・活動環境について、レクリエーションの視点で捉えなおしてみると、戦前期の京浜臨海部では、工業空間とレジャー空間は共存していたが、戦後復興期を経ると、京浜臨海部は、工業生産専門の空間として発達しており、レクリエーションといえば、主に工場内部の福利厚生空間が中心に展開していた。70年代以降、こうした福利厚生空間は、工業地帯の周辺部へと立地を移動させていったが、近年では、周辺部の福利厚生空間は他用途へと転用されており、むしろ、工業地帯内部の福利厚生施設が現在でも継続的に利用されている。市街地エリアでも市民のレクリエーション施設は減少気味であることから、運用システムの検討により、工業地帯内部の福利厚生施設の市民開放を含めた弾力的運用による空間再編が期待される。
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© 2010 公益社団法人 日本都市計画学会
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