都市計画論文集
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重傷者輸送と医療チームの派遣を考慮した最適道路・医療施設耐震化モデル
奥村 誠
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2010 年 45.3 巻 p. 577-582

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抄録
大規模地震発生時の重傷者の医療施設への輸送を円滑に行うために、事前に道路ネットワークや医療施設を耐震化する場面を想定した数理計画モデルの提案が行われている。しかし、災害指定病院から離れた地域にDMATと呼ばれる医療チームを派遣する方が効率的な場合があり、道路の耐震化ではその輸送も踏まえた計画が必要となる。本論文では、医療チーム配置と医療施設及び道路の耐震化を事前に計画するモデルを提案した。派遣医療チームの活動は、チームの到着時刻と重傷者の到着時刻の遅いほうに制約されるというミニマックス構造を含むが、これを線形制約に変換し混合整数線形計画問題として定式化したのが特徴である。仮想的な小規模ネットワークでの計算例を通して、総医療チーム数の増加によって救急医療施設の耐震化費用の転用や道路施設の耐震化費用の削減が可能になり、最適耐震化戦略が変化する場合があることを示した。これにより、耐震化と医療チームの配置を同時に検討することの必要性を確認できた。
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© 2010 公益社団法人 日本都市計画学会
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