都市計画論文集
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グローバル化時代における製造業立地の分散政策と立地集積の実態
タイにおけるケーススタディ
瀬田 史彦
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ジャーナル オープンアクセス

2011 年 46 巻 1 号 p. 108-115

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抄録

工業化が進展するアジア各国では、グローバル化と国際分業の動きがすでに顕著となり、政府も社会基盤整備や貿易の自由化によって産業集積のさらなる拡大を望むようになっている。このため国土・地域政策の働きかけが弱まり、大都市圏の肥大と地域格差の拡大が進行する恐れがある。本報告では、21世紀初頭の産業立地の政策と実態について、製造業による高度成長が続くタイを事例に、政府の地方分散政策に対し製造業立地が実際にどの程度分散されたのかを中心に分析し報告している。分析の結果、政府の地方分散政策に沿って製造業の地方分散が多少進んだものの、1997年の経済危機以降、2000年代の分散政策の弱まりに合わせて大都市圏周辺部への集積が再び高まり、地方圏への進出は相対的にさらに小さくなったことなどが明らかとなった。またこの傾向は高付加価値産業を担う日系企業で特に顕著で、2000年代の地方分散政策の変化を強く反映していると考えられる。

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© 2011 公益社団法人 日本都市計画学会
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