本研究は、日本における都市再開発について、アイデンティティと持続可能性の観点から、その特徴と課題について調べようとしたものである。調査方法は市街地再開発事業実施市町村の担当者へ、2008年と2010年に行った配票調査をベースに、聞き取り調査とヒアリング調査を実施した。その結果、事業実施地区の3割ほどがアイデンティティを有し、そこではオープンスペースのランドスケープが貢献している割合が高い。地域アイデンティティは持続可能性の指標と考えられており、エリアマネジメント組織が形成されている例はまだ10%と少ないが、PDCAサイクル等で低炭素都市づくりに向けて、経済的および文化社会的持続可能性を考慮すれば、アイデンティティを明確にすることはブランディング作用という点からもより重要な課題となる傾向が把握できた。