2011 年 46 巻 3 号 p. 631-636
本研究の目的は、都市における樹林地保全のための逆線引きの事例を即地的に調査し、その実態と特徴を明らかにすることである。対象地は、神奈川県と、相模原市、愛川町とした。まず、全6回にわたる線引き見直しにおける樹林地保全のための逆線引きの事例をGISデータ化し、地形と他の地域制緑地との関係性に着目しその実態と特徴を分析した。さらに、相模原市と愛川町における樹林地保全のための逆線引きの具体的な事例に着目し、その経緯や議論を調査した。結果として、都市における樹林地保全のための逆線引ききが、実質的な意味を有していないものであったとは結論付けられなかった。また、当初線引き前、また線引き後の地域制緑地指定の試みが、今日までの樹林地保全のための逆線引きに対し、空間的に重複しているのみならず、実際の逆線引きの実施の議論の中においても影響を与えてきたことを明らかにした。