都市計画論文集
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建物後退距離と建物および道路密度
薄井 宏行浅見 泰司
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2011 年 46 巻 3 号 p. 829-834

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抄録

本稿では、地域における建物後退距離と建物および道路密度の関係について論じた。その結果、1)敷地の平均間口が最大となる道路延長密度が存在すること、2)グロスの棟数密度の増加は敷地の典型奥行の増加に寄与する一方で、道路延長密度の増加は平均間口の増加に寄与することを理論的に示した。また、東京23区を対象に平均間口、典型奥行及び間口・奥行比の分布を示し、1)最頻値はそれぞれ11m、16m、1.4であること、2)平均間口と典型奥行の大小関係を決定する基準は道路延長密度の単調減少関数で与えられること、3)間口・奥行比の分布は道路網の充実度と比べて棟数密度が高い地域と低い地域を示していることがわかった。さらに、地域における建物前面の配置自由度に着目し、1)建物前面の配置自由度の最頻値は5mであること、2)典型奥行及び間口・奥行比の変化に対して、建物前面の配置自由度に対する建物前面後退距離の比は0.4から0.6であり、建物前面の配置自由度の約半分を建物前面後退距離に割り当てる傾向にあることを示した。

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© 2011 公益社団法人 日本都市計画学会
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