抄録
Catastrophe Bondや金融派生商品などに代表される金融資本市場の引受能力を用いた代替的リスク移転手法の発展に伴い、自然災害リスクのファイナンス市場はわが国においてその機能を向上しつつある。一方、1966年に創設されたわが国の地震保険は20%前後の加入率や行政の再保険並びに約5兆5千億円の総支払限度額など、いまなお改善すべき点は多いと考えられている。本研究は、現在定められている地震保険の耐震割引の妥当性を検証し、その分析を通じてリスクコントロールを含めた制度設計のあり方を目的とするものである。特に本研究は、世帯主の意思決定構造を考慮し、非集計分析によって得られる防災行動モデルを用いてそれらの有効性と与える影響について定量的に言及した点が特徴となる。