この論文の目的は、保護者の防犯上の安心・不安感が子どもの外出行動に影響する事実を踏まえ、小学児童が自立して外出できる街路空間の要件を解明することである。筆者は、多様な街路を有する郊外住宅地を対象として、小学3年の保護者約250名に安心・不安な街路の区間と子どものよく外出する経路を地図上に書入れてもらい、この心理量データと、街路空間の物的形態、沿道用途、放課後日没までの時間帯における通行状態といった多様な構成要素との関係を分析した。その結果、近隣住民が日常生活で利用する集客用途の存在や、歩行者と通過交通の分離が保護者の安心感の形成に強く作用することを見出し、街路構造や土地利用の制御によって子どもの防犯上安心感のある街路空間を形成できる可能性を示した。