2012 年 47 巻 2 号 p. 75-83
本考察は、敦賀市舟溜まり地区を対象として、実際に策定作業自体に参画、運用における協議・指導を行っていることを生かし、一般的市街地における景観形成基準の策定プロセスと具体的なデザイン誘導を明らかにし、創造的な景観誘導のあり方に対する知見を得ることを目的とする。考察の結果、景観形成を進めていくうえで重要な要素として、質の高い合意形成が図れる小規模な区域の指定や、住民の日常的な感覚や意見の定性的基準への反映があげられる。基準の運用においては、素材や工法といったわかりやすい基準項目が反映されやすく、定性的基準の積極的な運用を図るには、専門家による細かな誘導や基準の柔軟な解釈など、計画変更可能な設計初期段階での事前協議が不可欠である。