2013 年 48 巻 3 号 p. 1083-1088
本論文は、小規模な都市の歴史地区のためのデザイン・コントロールシステムとその現在の課題を建築文化的遺産の観点から議論する目的である。この議論を展開するために、景観形成の先進国であるドイツのヘッセン州の3つの小規模の都市を対象に調査研究を実施することとした。そこで、3つの都市の歴史地区の景観形成に貢献している技術官僚や建築家にインタビューをし、以下の課題を調査分析した;1)デザイン・コントロールシステムのタイプ、2)デザイン・コントロールシステムの背景、3)歴史地区の建築物の改修事業の実例を調べた。その結果、歴史地区のデザインコントロールに関する重要な論点が現在のアーバンデザインの方法にあり、専門家(文化的な遺産を含む)とクライアントの間における議論の重要性が歴史地区の真正性に関連している事を把握した。ドイツの小規模都市の事例から今後のデザイン・コントロールシステムを検討する事ができるといえる。