2013 年 48 巻 3 号 p. 513-518
本研究は,日本統治下の京城(現;韓国ソウル)市街地建設において,日本人居留地の与えた影響を分析した。日本人居留地では優先的にインフラが整備されたと説明されることが多いが,本研究は,実証的な分析を通して,全く異なる結論を導きだしている。朝鮮総督府は,インフラの平準化を目指していたため,既に一定の都市基盤を備えていた日本人居留地への社会資本整備に消極的で,日本人住民の要望にも冷淡だった。そのため,本研究では,日本人居留地の存在は,都市計画や市区改正における与条件として機能しなかったと結論している。