都市計画論文集
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山間部の被災地域における集落の被災状況と住民意識が居住継続意向に及ぼす影響に関する研究
紀伊半島大水害により被災した五條市大塔町の住民調査から
古山 周太郎
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2013 年 48 巻 3 号 p. 543-548

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抄録
本研究では被災程度の異なる複数の集落を含む被災地域を対象に、集落の被災状況と住民が意識している暮らしの変化が、居住継続意向に与える影響を明らかにする。住民の意識と生活実態の把握のため、紀伊半島大水害で被災した五條市大塔町の15集落の40歳以上の全住民を対象とした住民調査を実施した。本研究の結論は次のとおりである。五條市大塔町では、生活環境に被害を受けながら、住民はなんとか暮らし続けている。また災害の直接的影響は被災集落に強くみられるが、コミュニティの弱体化など、地域全体の住民が意識かしている影響もみられた。居住継続の意向をみると、故郷への思いや土地への愛着から居住継続が強い層、生活や経済条件、健康状態により居住継続の意向がわかれる層、利便性や安全性を理由に居住継続しない層の3つにわかれた。被災集落では、多くの住民が暮らしの変化を意識しているが、それが居住継続しないとの意向に直接つながるわけではなく、暮らしの変化への意識と居住継続意向の関係は錯綜している。被災してない集落では、利便性や安全性を求め、一定程度は居住継続しないひともみられた。
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© 2013 公益社団法人 日本都市計画学会
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