都市計画論文集
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震災復興初動期における住民主導型まちづくりの発動プロセスに関する一考察
宮城県石巻市中心市街地を事例として
苅谷 智大姥浦 道生
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2013 年 48 巻 3 号 p. 837-842

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抄録
2011年3月11日、東北地方太平洋沖を震源とする大地震が発生し、東北地方沿岸地域に甚大な津波被害をもたらした。本研究は、震災復興初動期において、都市計画事業やまちづくり制度など住民の公共的意思決定への関与を駆り立てるような強い要因が存在しない状況下でも、住民が主導的に地区の課題解決に資する公共的意思決定への参加を図っていくプロセスを明らかにするものである。調査分析の結果、まちづくりの萌芽的主体が存在すること、「情報共有の場」と「まちづくりの場」が同時並行的に運営されることが、震災復興初動期において住民主導型まちづくりを促進することがわかった。このことは、なるべく多くの住民に及ぶ情報共有網ならびに住民に一定程度認知された「まちづくりの萌芽的主体」を、平時より地区内に形成しておくことが、震災復興の初動を早める“事前防災”を進めて行く上重要であることを示している。さらに、住民主導型まちづくりの発動プロセスにおける各主体の役割についても明らかにした。
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© 2013 公益社団法人 日本都市計画学会
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