緊急性を有し、広域的連携からコミュニティの計画まで包括的かつ複雑な復興まちづくりにおいては、住民の意思決定の進め方と、実際の計画策定との関係性に対する考察が必要である。本研究では、岩沼市における防災集団移転促進事業をケーススタディとして、まちづくりWSが復興計画の策定過程でどのように機能し、住民の意思決定がまちづくり検討委員会の中でどのように計画に反映されたかを明らかにすることで、復興まちづくりにおける住民主体の計画策定のあり方を考察する。結論として以下の3点の知見が得られた。1)岩沼市におけるWSは、GD、MPをふまえて行われ、WSにおける意思決定が検討委員会に反映されることにより、上位計画と検討委員会で整合性をもった議論を行う橋渡しとしての役割を果たしたことがわかった。2)様々なスケールでの意思決定を扱う復興まちづくりでは、スケールによって住民の関心の多様な項目、強い項目が異なることに留意する必要があることが明らかになった。3)繰り返し議論を積み重ねる過程で住民は学習し、包括的かつ複雑な事業に対しても、様々な住民の意向を一定の意思決定へと収斂させることが可能になることがわかった。