近年、わが国では環境問題である地球温暖化に加え、ヒートアイランド現象の進行が顕著になっている。ヒートアイランド現象とは、都市圏においてその周辺に比べて気温が上昇する現象のことである。解決策のひとつに風の道の考え方がある。これは、ドイツのシュトゥットガルト市の都市計画で採用された概念であり、郊外の新鮮な空気を都市部に導入させるというものである。一般的にオープンスペースとされる場所に吹く風についてのシミュレーションや検討は多々行われているが、都市計画において建物の高さ及びバラツキが都市の通風・換気性状に与える影響についてはほとんど検討されていない。本研究は、3次元GISとCFDを活用し、大阪市の都心部を対象に風の道を考えた都市構造をシミュレーションにて示し、新たな風通しの良い都市空間のあり方について考察することを目的とする。