都市計画論文集
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神戸市河川沿緑地の形成とその構想の起源
古宇田實の水害復興構想とその戦災復興への影響
山口 敬太西野 康弘
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2014 年 49 巻 1 号 p. 128-139

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抄録

本研究は、神戸市における河川沿緑地形成の起源を探るため、阪神大水害(1938)の復興計画の策定過程と、水害復興時の公園緑地構想の内容、構想主体としての古宇田の計画理念と、その戦災復興への影響について明らかにした。水害復興時に古宇田實(建築家、神戸高等工業学校校長)によって示された市内の複数の河川沿いに幅100mの「遊歩園」を設ける構想は、水害復興では予算獲得の困難のため実現しなかったが、戦災復興において原口忠次郎のもと採用されるに至り、神戸市独自の復興基本計画要綱ならびに緑地設定計画要綱に位置づけられ、神戸市長施行の土地区画整理事業により実現した。本論ではこの経緯の詳細を明らかにした。また、古宇田による本構想は、関東大震災からの都市の防災・防空に基づく理念と、留学時にみた欧州の都市美への憧憬を動機とする都市の美観・緑化という理念の双方に基づいていたことを示した。

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© 2014 公益社団法人 日本都市計画学会
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