都市計画論文集
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昭和前期の宮崎都市計画の特色とその地域的・社会的文脈
「神都宮崎」の観光振興と近代都市形成との関わりに着目して
永瀬 節治
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2015 年 50 巻 3 号 p. 1204-1211

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抄録

本研究は、昭和前期に策定された宮崎都市計画について、当時の宮崎市を取り巻く社会的・地域的文脈との関わりから、計画内容の特色を明らかにするものである。明治期の県庁設置により発展した同市は、神武天皇に縁の宮崎神宮を擁することから「神都」と呼ばれ、昭和前期にかけて、神宮をはじめ建国神話に由来の地を活かした観光振興を活発化させた。当時、宮崎地方委員会技師として都市計画を主導した藤田宗光は、欧米の都市計画論の影響を受けつつ、「神都」を象徴する市内外の史蹟や景勝地等の観光資源を捉え、それらの風致保全と公園系統による結節を図るとともに、近代産業都市としての発展を企図した計画を立案した。後に藤田は宇治山田市の例を参照し、これを「神都計画」と表現したが、計画時における影響関係は見出されず、宮崎の地域性に依拠した独自の計画であったと考えられる。

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© 2015 公益社団法人 日本都市計画学会
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