都市計画論文集
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京都・西陣における居住者が抱く 『都市認識』を通じた自地域への価値付けを扱う『ダイアログ』手法の開発
都市・建築デザインのための『都市認識』アプローチ法の初期的研究
太田 裕通神吉 紀世子
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ジャーナル オープンアクセス

2015 年 50 巻 3 号 p. 1218-1225

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抄録

本研究は個人が都市への関心を通じて抱くその時空間的な拡がりを伴う自地域への価値付けに注目し、それを地域毎の将来シナリオの創造へと展開する情報として扱うために仮称的な概念『都市認識』を定義し、『ダイアログ』という深いコミュニケーションを通してその共有を目的とした手法の漸次的構造化による開発を行った。『ダイアログ』の中でスケッチや多様な地図を駆使して居住者の『都市認識』を引き出すよう働きかけるApproacherという役割を手法開発過程で提案し、その積極的な姿勢から改めて話者の覚醒が導かれ、共に自地域への価値付けを行うプロセスを状況的、内容的に記述化し、それらから地域ベースの日常的な議論に繋げる提案を行うところまで展開した。対象地の西陣は織物で有名な都市内産業地域であり、その一般的イメージの強さから地域に潜む多様な価値が引き出し難く、また都市空間の物理的な側面においても実は『都市認識』の中にある西陣らしさが共有化され辛いことから、都市空間の将来を考える上で困難さが多い地域である。こうした地域において居住者の『都市認識』へのアプローチによる都市・建築デザインの実装が必要である。

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© 2015 公益社団法人 日本都市計画学会
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