2015 年 50 巻 3 号 p. 472-479
日本のような都市化した社会では、詳細レベルの慎重な利害調整が都市計画に必須であると考えられる。別言すれば、都市計画には、「多様な利益を、総合的に集約・調整して、即地的で拘束性があり、詳細かつ具体的な計画を、基礎的自治体が決定する作用」である「焦点化」が必要である。本研究は、オランダの2006年空間計画法のもとでの地区詳細計画の制度的工夫を考察する。オランダは計画優先の枠組を持つ。そして、地区詳細計画が原則として全土を覆う。オランダでは、詳細で具体的な即地的で拘束性がある地区詳細計画を、領域的または機能的に多様な諸利益を集めて調整することを通じて、市町村が決定できる権能が与えられている。さらに、計画決定後にも柔軟な微調整の可能性もある。これらの制度的工夫は、日本における法制度の設計に際しても、示唆を与えるものであると考えられる。