都市計画論文集
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1960年代カンボジアにおける日本人専門家の都市計画国際協力
松原 康介
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2015 年 50 巻 3 号 p. 808-815

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抄録

1960年代はカンボジアにおける近代建築の黄金期と呼ばれ、建築家兼官僚で後に国務大臣ともなったヴァン・モリヴァン(1926-)を中心に、近代クメール都市建築と呼ばれる多くの都市計画プロジェクトが実現したことで知られる。しかし、独立直後のカンボジアは貧しく、これらのプロジェクトは国連を中心とするいわゆる国際協力の枠組みにおいて可能なものであった。国連側の専門家は、ウラジミール・ボディアンスキー、ジェラル・アニングを中心とするフランス人専門家、そしてアニングの指導下にあった番匠谷尭二(1930-1998)、後藤宣夫(1938-2000)、岡田説夫(1933-)の三人の日本人専門家であった。その業績は、多様な国際交流手段の構築が急務である今日の日本において、国際協力に基づく日本の都市計画の先行事例として位置付けられる。本稿では、上述の専門家らがカンボジアで業務を行うに至った経緯と計画内容、及び実際の貢献の状況を、フランス、カンボジア、日本の共通の課題であった、歴史的都市空間の近代化の視点から考察して、国際協力に基づく都市計画史の一端を明らかにすることを目的とする。

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© 2015 公益社団法人 日本都市計画学会
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