都市計画論文集
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災害遺構の保存に対する住民評価に関する研究
雲仙普賢岳の噴火災害遺構「旧大野木場小学校被災校舎」を事例として
石原 凌河
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キーワード: 災害遺構, 保存, 評価, 寄付金
ジャーナル オープンアクセス

2015 年 50 巻 3 号 p. 859-865

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抄録

本研究では、雲仙普賢岳噴火災害被災地保存されている災害遺構を事例として、アンケート調査により災害遺構に対する地域住民の評価を明らかにし、災害遺構の保存や維持管理に関する知見を得ることを目的とした。その結果、長崎県南島原市深江町で寄付金の支払可能性のある世帯からの寄付金の総額は、年間あたり約243万円となった。また、災害遺構の保存に対する支払意志額の要因分析を行ったところ、年齢、居住地域、年収、利用頻度、保存意向、被災経験が影響を与えていることが示唆された。年齢や年収といった支払余裕性に加えて、日常的な災害遺構との関わりが支払いに影響を与えていることが確認できた。そのため、地域住民が日常的に災害遺構に関わることができる施策の構築が必要となることが示唆された。

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© 2015 公益社団法人 日本都市計画学会
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