都市計画論文集
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伝統的工芸品産地における若手従事者及び従事者組織の地域まちづくりに対する役割
富山県高岡市を対象として
舛田 晃真野 洋介
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2015 年 50 巻 3 号 p. 953-960

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抄録

時代変化に伴い伝統的工芸品が衰退して行く中、産業従事者の取り組みが変化している。取り組みの変化に伴い産地における従事者の地域的役割も変化している。そこで、従事者による新たな取り組みが近年見られ始めている富山県高岡市を対象に、取り組みの発生経緯と、地域での展開プロセスを明らかにすることで、産地における従事者の新たな役割を示唆することを本研究の目的とする。従事者へのヒアリング調査をもとに、従事者組織である高岡伝統産業青年会及び従事者周辺組織の活動と個々の従事者の取り組みの変化の関係を分析することにより、新たな従事者の役割として以下の結論を得た。1)従事者の活動が対外的になることで、産地に交流人口を増加させる役割を担う可能性がある。2)従事者が異業種分野と結びつく流れと、個人の関わりを組織に反映する動きが見られることから、従事者組織が、業種の垣根を越えて産地の人々を結びつける役割を担える可能性がある。3)県外から移住した作家が生計を立てるため新たな従事者となる中で、安価な製作場所、住まいとして空き家を活用する動きがあり、新たな従事者は空き家活用の担い手としての役割があると考えられる。

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© 2015 公益社団法人 日本都市計画学会
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