抄録
本研究は、米国カンザスシティ市のコンプリヘンシブプランを詳細化、具体化したエリアプランに着目し、市民参加のもと、計画に書かれた政策や取組がどのように具体化・詳細化され、予算化されているのか、計画実施の実態を明らかにすることを目的とする。計画に記載された内容がそのまま直ちに実施につながるのではなく、計画内容の更なる具体化・詳細化、優先度の選定作業が必要であり、官民で構成される実施委員会が中心となった取組によって、新たな参加や交流の促進、前向きな検討への好循環の創出、安定的な予算獲得など、計画の継続的な活用や計画実施につながる成果が着実にあがっていることが明らかになった。一方で、特定の地区のみでしか計画実施は進んでおらず、市民の積極的な参加意欲があっても、計画内容の具体化・予算化のための仕組みや制度が用意されていなければ、計画策定後に安定的な計画実施はうまく機能しないことが明らかになった。