都市計画論文集
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市町村における歴史まちづくりの取組み状況と展開要件に関する研究
藤岡 麻理子中西 正彦
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2020 年 55 巻 3 号 p. 1409-1416

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抄録

歴史まちづくり法の制定から10年以上が経ち、地域固有の歴史文化資源を総合的に把握し、地域づくりに活かすという歴史まちづくりの考え方は広く普及してきているが、市町村による歴史まちづくり法の認知度と活用度は高くない。一方、2018年に改正された文化財保護法において、未指定を含む文化財のまちづくりへの活用が提唱され、また文化財保存活用地域計画が法定計画として位置づけられたように、歴史まちづくり法が推進してきた歴史まちづくりの取組みはさらにより多くの市町村でより総合的に取り組まれることが望ましい。本研究は、歴史まちづくりの取組みの充実と普及が求められていることを前提に、その取組みを展開させていく要件を見出すことを目的とした。アンケート調査、ヒアリング調査、文献調査により、歴史的風致維持向上計画の認定をうけている市町村における歴史まちづくりの取組みの状況と経緯を特に計画、制度、体制について明らかにし、市町村が地域特性に応じた独自制度をもつこと、および庁内体制を連携の枠組みと専門人材の両面について強化することの意義を論じるとともに、国による歴史まちづくりに関する制度体系の再考も一課題であることを指摘した。

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