物流分野における労働力不足が懸念される中,ドローン配送は離島や山間部などの過疎地を中心に有効な輸送手段として期待されている.ドローン配送普及のためには,民法により土地所有者の権利が及ぶ個人敷地上の空域における通行許可が不可欠であり,土地所有者に支払われる上空利用料に焦点を当てている.本研究の目的は,ドローンが個人の敷地上空を通過する回数と距離に着目し,ドローン配送のための上空利用料の基本システムを確立することである.積分幾何学のランダムラインの知見を用い,ドローンの飛行ルートが格子状敷地を通過する回数及び通過長の予測に,対象敷地の面積比と敷地形状が与える影響を調べた.特に,通過数と通過長間の相関係数の解析解を求めることで,都心部・地方部における固定料金と可変料金の使い分けの有用性を提案した.