都市計画論文集
Online ISSN : 2185-0593
Print ISSN : 0916-0647
ISSN-L : 0916-0647
立地適正化計画に基づく居住誘導施策検討の実態と富山市における施策効果の分析
佐藤 徹治原 祐樹名越 綾香
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2020 年 55 巻 3 号 p. 561-568

詳細
抄録

本稿では、全国の立地適正化計画を作成・公表済みの自治体に対するアンケート調査から計画に基づく具体的な人口誘導施策の検討・実施の有無、内容等を把握するとともに、立地適正化計画制度ができる以前の2005年から都心部等への人口誘導施策を実施してきた富山市を対象として、傾向スコアマッチングと差分の差分法を組み合わせたDID-PSMにより施策の人口誘導効果を統計的に検証した。アンケート調査結果から、誘導区域内に人口を誘導する施策を検討している都市は3割程度であること、誘導区域外に対する施策を検討している都市は少ないこと、現時点で実際に人口誘導施策を実施している都市は極めて少なく全国で10都市程度に留まることなどが明らかとなった。また、DID-PSMによる分析結果から、富山市の施策は実施後14年間経ても統計的に有意な人口誘導効果をもたらしていないことが示された。また、アンケート調査結果と検証結果を踏まえて、今後の居住誘導施策の方向性について考察した。

著者関連情報
© 日本都市計画学会
前の記事 次の記事
feedback
Top