都市計画論文集
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原発避難者と受け入れ先住民の意識差に見る今後の近隣関係構築への課題
福島県いわき市小名浜を事例として
蛭田 美紅三宅 諭
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2020 年 55 巻 3 号 p. 864-871

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抄録

福島第一原子力発電所事故により原発周辺地域は帰還困難区域に指定され、今でも多くの避難者は福島県内外で避難生活を続けている。避難者と受入先市民との間にトラブルも発生しており、原発避難者の今後の生活を考える上で、避難先住民との対立関係を解消することが求められる。本研究は、いわき市小名浜地区の市民および避難者にアンケート調査を行い、対立の要因と対立解消に向けた課題を明らかにしている。トラブルが発生するのは新しい生活が始まるタイミングに多いことを明らかにした。また、避難者と市民の意識対立の要因として、不満や忌避感が負の影響を与えていることを明らかにした。さらに、避難者と避難者の近くに住む市民は積極的な交流に消極的であるのに対し、離れて暮らす市民は避難者の受入に積極的であることが明らかになった。

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