都市計画論文集
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競合環境下における介在機会モデルを用いたフロー捕捉型配置問題
谷口 航一田中 健一
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 56 巻 3 号 p. 539-546

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抄録

本稿では,移動者が経路途中に存在する施設に確率的に立ち寄って利用するという仮定の下,すでに競合他社が施設を設置している地区に,自社施設の利用者数の期待値を最大化するように施設を配置する問題を提案する.この問題は,既存の介在機会モデルを用いたフロー捕捉型配置問題に,競合を考慮して拡張したものと見做せる.提案モデルでは,移動者が経路上の何番目に出会う施設に捕捉されるかという情報に応じて期待利用者数が異なり,この構造を取り入れた整数計画問題としての定式化を示す.道路網データを用いた例題に提案モデルを適用し,いくつかの状況設定の下で最適解の特徴を分析した.その結果,利用者が施設に立ち寄る確率が小さいときは,新規参入側の施設は通過フローの多いノードに配置され,逆に確率が大きいときは,参入前に他社が捕捉していたフローを奪いやすいノードに配置されるという傾向が明らかになった.また,提案モデルに対して貪欲解法を設計し,得られた近似解を分析した結果,解の精度および計算時間の観点から,貪欲解法が優れた手法であることが実験的に確認された.

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