本研究は,今後の需要の減少に対して,経済的な持続可能性を確保しながら,大都市圏郊外部の公共交通路線網を再編するために,路線系統の構成と運行頻度,交通量,運賃を適切に設定するモデルを提案する.すなわち,単一種類の車両が単純に往復あるいは循環運行する路線系統を複数設定して,利用者は必要に応じてこれらの路線系統を乗り継ぎながら移動するという状況を考え,社会的総余剰の最大化を行う.さらにこの最適化モデルを,大都市郊外部の駅勢圏に見られる典型的な路線網をモデル化した簡単な公共交通ネットワークに適用し,今後の公共交通網再編に関する以下のような知見を得た.(1)路線系統構造により内部補助の効果が異なる.(2)最適NW構成を採るために,頻繁に路線系統の構成を変化させる必要はない.(3)需要の量的な変化に合わせたモードの変更は必要だが,路線形状の変更まで行う必要性はない.