都市計画論文集
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軍港都市呉における市街地形成過程の分節性とその発現
都市建設期(1886-1921)に着目して
佐鳥 蒼太朗中島 直人永野 真義宮城 俊作
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2021 年 56 巻 3 号 p. 983-990

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抄録

軍港都市の都市計画や都市形成に関して、従来は専ら海軍の存在・役割やその画一的なグリッドプランが注目・強調されてきたが、近年では主体性を発揮する地域の姿や空間の多様性が見出されつつある。こうした状況を踏まえ、本研究では、軍港都市呉における市街地形成過程そのものが分節的な性質を有していたことを確認したうえで、その性質を発現要因とともに体系的、構造的に整理することを目的とする。具体的には、地図資料により都市形成の空間的な実態を把握したのちに、文献資料により個別の開発事業やその背景を調査し、呉の都市建設期における市街地形成の地理的・空間的な展開とその背景を日本海軍の策定した呉の都市建設計画との関連性に着目しながら整理した。その結果、呉の市街地形成過程の分節性は、①事業手法の選択性、②建設過程の段階性、➂街区形状の適応性という3つの要素に整理できること、こうした分節性の発現要因は建設計画・制度と地域の社会的条件に大別できることが明らかになった。

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