都市計画論文集
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心理要因と都市規模が「中心市街地訪問による精神的充足への期待」に及ぼす影響の探索的検討
溝口 哲平谷口 綾子
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 57 巻 1 号 p. 7-19

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抄録

中心市街地は,気分転換や非日常感,良いことが起こりそうな期待感など来訪者に精神的充足をもたらす“晴れの舞台”であるとされる.本研究では,人々が抱く「中心市街地の訪問により精神的充足を得られる」という期待に着目し,この期待の他,中心市街地への愛着や利便性評価などを「中心市街地への志向意識」と総称する.その上で,中心市街地への志向意識を規定する心理要因を探索的に明らかにすること,および中心市街地の所在する都市の規模が志向意識に及ぼす影響を検証することを目的とする.結果として次のことが明らかとなった.1)自己閉塞性や地域からの疎外意識が高いといった社会的紐帯の弱い人は,中心市街地の訪問に精神的充足を期待しない傾向にある.2)イメージする中心市街地の所在する都市の規模が一定(地方中核都市)未満となると,「中心市街地の訪問により精神的充足を得られる」という期待が低くなる.後者は,小規模な都市の中心市街地では,もはや精神的充足がもたらされていない,或いはそれが期待されていない可能性を示している.

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