2022 年 57 巻 2 号 p. 364-374
国際的な立場から、都市にとって重要な歴史的空間の整備を考える上で、ベルリンの壁の跡地は大変興味深い研究対象である。そこで、本研究の目的は、ベルリンの壁の跡地利用の実態を解明するために、チェックポイント・チャーリー(CpC)に注目した。壁の崩壊後の計画プロセスと合意形成に関する包括的な文献調査により、以下の4点が明らかになった。1)他の都心開発事業と同様に、チェックポイント・チャーリーは、市民参加が集中的に行われている。2)チェックポイント・チャーリーでは、壁の崩壊から30年以上経過した今でも具体的な整備事業が実現化していない。3)チェックポイント・チャーリーは、ベルリンの歴史性の解釈の難しさと、計画実現の不確実性を反映している。4)法定の都市計画は、公共性の担保と合意形成の促進には役立っている。