2022 年 57 巻 2 号 p. 422-431
近年の水災害の頻発化・激甚化を受け、安心・安全な居住地や企業活動のあり方が問題になっている。この観点から、本研究は市街化調整区域地区計画と災害の発生のおそれのある区域(災害ハザード区域)との重複状況を全国レベルの調査から明らかにし、今後の対応のあり方を考察することを目的とする。全国自治体を対象とした悉皆調査を行い、調整区域地区計画ガイドラインへの災害ハザード区域記載は二極化傾向が見られること、浸水想定区域との重複への自治体対応は遅れていること、実際の重複は2015年の都市計画運用指針における災害レッドゾーン明示以降は改善傾向にあること等を明らかにした。その他、実際の災害発生事例における教訓、浸水リスクの高い地区との重複事例における対応の現状等の実証的分析から今後の調整区域地区計画のあり方について論じた。