2022 年 57 巻 3 号 p. 1056-1062
本研究では、全国の市区町村を対象として、土地所有、取引に関するデータを複合的に用いた分析を行い、土地取引が停滞している地域の偏在と、その流動に影響を与える要因を推定した。その結果として、土地取引の流動の沈滞は、既存ストック量などによる調整を行ったうえでも、特に山間部などの条件不利地域において顕著にみられることが分かった。また、同じ既存戸建て住宅でも持ち家と借家とでは取引の傾向が異なることなど、ストックの所有、利用の形態による流動の違いも明らかとなった。土地取引に限らない、不動産の流動の実態をより詳細に分析、解明することで、人口減少時代における戦略的な空き家対策の立案に貢献することが期待される。